ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ







城に戻ると、父上からいやという程お説教を受けた。
男の服もすべて処分され、一週間は高い搭のお仕置き部屋に幽閉された。



「ジョセフィーヌ…
継承の儀式まであと一週間だ。
今日はおまえの伴侶となるべき方をお連れした。」

「……はい。」

私はもうすっかり諦めていた。
こうなることは、最初からわかっていたこと。
……これが私の宿命なのだ。



扉が開かれ、誰かが入ってくるのが感じられた。
ゆったりとした品の良い歩き方だ。



「おひさしぶりです。」

聞き覚えのある澄んだ声に、私ははっと顔を上げた。



「カミーユ!」

「……驚いた!ジョッシュとは全然違うね。」



「ち、父上、これは一体……!」



父上はにっこり微笑み、話して下さった。
イリヤの部下達が、私と一緒にいたカミーユについて訊き込み、その情報を父上に伝えたとのことだった。
父上は、カミーユが命を賭けて私を逃がしたことに感銘を受け、彼をここに呼び寄せて私の事情を話したらしい。



「カミーユ…無理しなくて良いんだ。
いやならいやと言ってくれ!
こんなこと突然言われても困るのはわかってる。」

「正直言って、私はジョッシュのことは知っていても、ジョセフィーヌ様のことはまだよく知りません。
でも……知ったらきっと好きになれると思うのです。」

「カミーユ……」

初めて会った時は、あんなに頼りなく見えたのに、今はすごく頼れる存在に思える。



「ほぉ……ジョセフィーヌが涙ぐむとはたいしたもんだ。
カミーユ、このじゃじゃ馬のことをよろしく頼んだぞ。」



***



それから一週間後、カミーユは私の伴侶として国民達に紹介され、私は王位を継承した。

いくら私の恩人とはいえ、吟遊詩人である彼をよくぞ伴侶として認めてくれたと思ったら、彼は、我が国でも有名な名門貴族イェイガー家の次男坊だったのだ。
数年前にお母上が亡くなられたことをきっかけに、彼は放浪の旅に出ていたのだと言う。



彼のことは知ってるようでまだ知らないことだらけだけど……



「焦ることはないさ。」



彼が優しくそう言ってくれるから、ゆっくり知って、ゆっくりと愛を育んで行こうと思う。



今まではなんだか煩わしく感じられてたひらひらしたドレスも、今は不思議と着心地が良い。



それはきっと「似合うよ」って言ってくれる人が側にいるから……



〜fin〜






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