ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ
剣の意味・4






そして、瞬く間に数ヶ月の時が流れた。



「おい、聞いたか!?
西の部隊がついに撤退したらしいぞ!」

「西って…まさかマックス隊長の部隊か?
あのマックス隊長の部隊が撤退したというのか!?」

「そうだ!しかも、そこに攻め入ったのは……」

「……!ブラッドなのか!?」

「その通りだ!あいつが向こうに行ってから、戦況は我が国にとって不利になる一方だ!」



俺達はまだ城の側で警護をしてるだけだというのに、ブラッドの戦場での活躍は毎日のように届けられた。
いまや、ブラッドの名を知らない者はいないくらいだ。



「くっそー!
あいつ……いくらこの国の出身じゃないっていっても、長年ここで暮らしてきたくせに…!」

「あいつもやりたい放題やってるんだ!
こっちだって容赦しないぞ!
戦場であいつをみつけたら、俺が仕留めてやる!!」

「おまえにゃ無理だ!
俺がやってやる!」

ブラッドに対する反感は日に日に高まっていた。
それも当然のことだ。
でも……



(俺ならどうするだろう?
俺は、ブラッドと戦場で出会ったら、どうするんだろう?)



頭に浮かぶのはいやな思い出ばかりだけれど、それだけじゃないこともわかってる。

それに、あいつの妹と俺の弟は恋人同士なんだ。
ただ、ブラッドがモリダニアに行ってから、あいつのおふくろさんと妹も忽然と姿を消した。
きっと、モリダニアに連れていかれたんだろうが、二人の仲を裂くような真似はしてほしくなかった。

いろいろ考えると、やはりあいつに対しては苛々することの方が多い。



そうだ…あいつは何かを決める時に、絶対誰にも相談しない。
いつも自分だけで決めて、決まったことを報告するだけだ。
今度のことだって、もっと別の方法があったはずだ。
おふくろさんのためを思ってしたことなんだろうが、俺達に話してくれたら、これほどみんなの反感を買わずに済む何か別の方法が、きっとみつけられたはずなのに……





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