ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ







「なんて危ない真似をするんだ!
それに、どうやって結界の中に入った!?」

「結界には必ず裂け目や弱くなってる部分があるんだ。
山みたいな広範囲の場所にかけられたものは特にね。」



ラナの機転により、モーリスは腕と肩の怪我だけですんだ。
子供の癖にラナはたいした弓の名手だ。
それは俺にもわかっていたが、誉めて調子に乗られては困ると思い、そのことには触れないでいたのだが、そんな俺の気持ちを知らずモーリスやライアンがラナを褒めちぎる。







「いいか、もう二度とあんな危ない真似はするんじゃないぞ!」

成り行き上、仕方なく、俺は、ラナを宿に連れて帰った。
ラナは、俺の真剣な小言にも、赤い舌を出し小さく肩をすくめただけだった。



「あたいだって少しは戦えるんだ。
明日も手伝うよ!」

「だめだ!そんなことはさせられない!」

「だって、あたい、父さんに借りがあるし…」

「借りならもう返してもらった。
明日は絶対に着いて来るな!
着いてきたら、もうこの先、一緒に連れて行かないからな!」

「え…?
それじゃあ…明日着いていかなかったら、これから先も一緒にいてくれるんだね!?」

「……え…?」

「やったーー!」



ラナは、俺の両手を取って、上下に揺さぶり無邪気にはしゃぐ。



(……参ったな…)



なぜそんなことになってしまったのか…
俺はなぜライアン達にこの娘の父親ではないとはっきり言わなかったのか…



ふとそんなことを考えた時、ラナの動きが止まった。



「父さんはきっとこの傷のために戦ってるんだね…」

ラナは俺の掌をみつめてそう呟き、言い当てられた驚きに俺は戸惑い、言葉を失った。



「……ま、なんでも良いや。
とにかく、よろしく頼むよ!」

拍子抜けするようにラナはそう言って微笑み、俺の手を握り締めた。



〜fin


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