ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ






「おはよう…コハク…」

エルンは、冷たく固いコハクの唇に口付けた。



「そんな顔しないでよ。
昨日はごめん…
いきなりあんなこと言って、あんなことしてしまって…君が怒るのも無理ないよ。
でも、わかってほしいんだ。
僕の気持ちが本物だってこと…」

その日から朝晩のコハクとの口付けがエルンの日課に加わった。
話す言葉も、コハクへの愛の告白が多くなった。



いつもなら待ち焦がれていた年に一度のあの日が、コハクには辛いものとなっていた。
会う度に、エルンとは言い争いばかり。
どんなに説得しようとも、エルンはコハクの言い分を聞き入れようとはしなかった。
そして、それよりも苦しかったのはコハク自身の心が揺らいでいることだった。
エルンと会う度に、抑え切れなくなる彼への恋心…
会う度に、男性としての魅力を増していくエルンに引き換え、成長しないどころか古びていく一方の自分の身体のことを考えると、コハクは消えてしまいたい気分になった。



「もう、やめて……!」

コハクは、両手で顔を覆い俯いた。
空の色をしたトルコ石の瞳から、熱い涙が滴り落ちる。



「コハク…泣かないで…
なにも心配しなくて良いよ。
僕の気持ちは一生変わらない…
僕は君以外の人を好きにはならない。」

「……エルン……
どうしてわかってくれないの……
あなたはいつの間にか、とても素敵な大人になった…
でも、私は少女のまま…これからもそう…一生、私はこのままなのよ!」

コハクは、涙に濡れた顔を上げ、エルンに向かって叫ぶように言葉を投げつけた。



「コハク……」

エルンはコハクの身体をやさしく抱きしめ、耳元に囁く…



「僕には、君が大人の女性に見えるよ…
目に見えるものなんて関係ない。
僕が好きになったのは、君の外見じゃないんだよ。
君自身なんだから…」

「エルン……」

エルンの唇がコハクの唇に重なった。
優しいけれど強く激しい愛のこもった唇を、コハクは素直に受け入れた。
それはエルンの日課の口付けとはまるで違うものだった。



「エルン…私も…あなたを愛してる…」

「コハク…!!」


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