ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ


「……そういえば、いつだったか酒場で出会った爺さんの昔話を聞いた時にそんな話を聞いたことがある。
なんでも爺さんが生まれるずっと前に、あのあたりには日照りが続き、人々はとても危険な状態になっていて、その危機を救ったのがターナリア神殿の一人の若い神父だったとか。」

「えっ!?
それじゃあ、ターナリア神殿が防いだ災害っていうのは日照りのことで、あの神殿の神父がそのために何かをやったってことなのか?」

「さぁね、私は伝説にはそんなに興味はないからよくは知らないけど……確かね…その神父は天使を呼び出して…」

「……えっ!?」

カルフの頭にはある信じられない推測が浮かび上がっていた。



「えっと……その爺さんが生まれるずっと昔にバンナーのあたりでは日照りが続いてて……その町の危機を救ったのが天使を呼び出した若き神父…なんだよな?」

ゆっくりと噛み締めるようにアルルの話を繰り返し、カルフはアルルの顔をみつめた。



「うん、確か、そうだったよ。」

「それで、その神父の名前は!?
呼び出された天使はどんな天使だったんだ!?」

「そんなこと知らないよ。
爺さんが若い頃の恋物語が中心で、日照りの話はほんのちょこっと出てきただけなんだから。」



「……まさか…な…?
そんなこと…ありえない…よな?」

カルフは、アルルに向かい、どこかひきつりながら微笑みかける。



「まさかって何が……ん……んんん?」

最初はぽかんとしていたアルルの表情が、少しずつ深刻なものに変わっていく。



「違うよな?
……そんなこと、ありえないよな、な?」

懸命に否定の言葉を期待するカルフに対して、アルルは普段めったに見せることのないようなサービス満点の作り笑いを返した。



「……ま、なんとかなるよ!
ほら、私達、こんなに元気なんだしさ!
うん、大丈夫、大丈夫!
ま、どこだって、どんな時代だって住めば都…ってことだよね…
あ……大変だ…クラウド達に早く追いつかなきゃ!」

アルルは、呆然とするカルフを置き去りにして、その場から駆け出した。



「う…う…う……」

立ち尽すカルフの喉からは搾り出すようなうめき声が漏れ出し、その身体が小刻みに震える……



「アルルーーーーー!!!」

真っ赤な顔をして頭から湯気を立てるカルフは、アルルの後を全速力で駆け出した。


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