ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ






「肉が食べたい!
酒がのみたい!」

森の中に、駄々をこねる子供のようなアルルの叫び声が響き渡った。
焼かれた野菜を目の前にして、アルルは不満げに足を踏み鳴らす。



「そんなものはない!
いやなら食うな!」

季節はずれの麦わら帽子をかぶり、長い小花柄のスカートをはいたカルフはそう一喝すると、じゃがいもに木の枝を突き刺した。



「クラウドさん、食べませんか?
よく焼けてますよ。」

「いえ…私は……
それよりも、カルフ様、この天使様の戒めを解いていただくわけにはいかないのでしょうか?
あまりにお可哀想で…」

クラウドは、身体中を縄でぐるぐる巻きにされた天使にすまなさそうな顔を向けた。



「だーめ!
そいつは、何も話さない。
名前さえもだよ。
しかも、そいつは今まで町の者達を襲ってたんだよ。
本当は連れて来たくもなかったんだけど、あんたが……」

言葉を途絶えさせたアルルの視線の先には、今にも泣き出しそうなクラウドの顔があった。



「……なぜなのです?
同じ天使様でありながら、なぜあなた達はそのようなことを…」

「お…同じ天使だって…!?」

「あ……しゃべった…」

天使は、驚いたような表情でアルルとカルフの顔を交互にみつめる。



「ほ…本当にあんたらも天使なのか?」

天使の真剣な眼差しに、カルフは困惑した。



(なぜだ…どっからどう見たって僕達は天使になんか見えないだろうが…)



「クラウドさん、すみませんが少しだけ三人にして下さい。」

「わかりました。人間には聞かせられないお話があるのですね。」

物分りの良いクラウドは、カルフの手を煩わせることなく、すぐさまその場から姿を消した。



(良いな…僕に任せておけ。
あんたは、僕に話をあわせておけば良いから。)

(なんでだよ!
なんで私がそんなこと…)

(……僕の言う通りにしていたら、酒が飲めるかもしれないぞ…)

その一言で、アルルの表情が一変した。
アルルは、カルフに向かってにっこりと微笑み頷いた。


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