ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ


(ハッ!こいつが例の魔物か!?)

ようやく気付いたカルフは剣を引き抜こうとするが、はきなれないスカートのせいでなかなか剣の柄に手が届かない。
とにかくまずは魔物を捕まえようとがむしゃらに手足を動かしたが、いかんせん、カルフは元々格闘技が得意ではなかった。
そんなカルフを嘲笑うかのように、魔物は、カルフの攻撃を簡単にすりぬけていく。
そのうちにカルフは相手が人間のような形をしていることを確信した。
直接つるりとした肌に触れることから相手はほぼ裸に近く、体格的にも自分とさほど変わらないことをカルフは感じた。
やがて、くんずほぐれつを繰り返し、ついにカルフの正面に馬乗りになった魔物の姿がはっきりと現れた。



「に、人間!?」

「な、なにっ!
おまえには俺が見えるの…か?」

そう言った瞬間、ゴンという鈍い音と共に大きな石がごろりと転がり、魔物は白目をむいてカルフの上にがっくりと倒れ込んだ。



「お、おい!おまえ!
急に、どうしたんだ!?」



「……こんなことだろうと思ったよ。」

小さな欠伸に片手を添えながら、ゆっくりと近付いて来るのは、背の高いすらりとした美女。
彼女が近付いて来るごとに、強烈な酒のにおいがカルフの鼻を刺激する。



「……ぷっ。何なの?その格好……」

女装したカルフの格好を見て、アルルは腹を抱えて笑い転げる。
カルフはそんなアルルを横目で睨み付けながら、眉間に深い皺を深い刻み、心の中でアルルへの呪いの言葉を呟いた。



「……ったく。
あんたって人は一人じゃなんにも出来ないんだから…宿の主人から話を聞いて様子を見に来てみたら、やっぱり……ん…?……んんん?」

アルルは、カルフの傍らに倒れた魔物に驚いたような顔を向け、さらにそちらに顔を近付ける。



「こ、こいつ……」

明らかに動揺しているアルルを不審に思い、カルフも魔物に視線を移した。



「な、なんだ、これ!?」

カルフはアルルと同じように大きく目を見開いたまま、魔物の背中をみつめ続けた。
白い小さな翼の生えた背中を…


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