ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ






(なんで、僕がこんな格好を……)

剣が見えては警戒されるからと、カルフはゆったりとした長いスカートをはかされ、その中に剣を隠した。
頭には顔を隠すための季節はずれのつばの大きな麦わら帽子、さらに背中にはじゃがいもやたまねぎで膨らんだ大きな袋をを背負う。
一番魔物が出て来やすいとされている街道に続く森の中の小道を、カルフは歩き続けていた。
森を抜け反対側の街道に出るとまた戻り、そしてまた森を抜けると後戻りをする。
何度もそれを繰り返すうちに、いつしかあたりは薄暗くなり、ずっしりと重い荷物とその無意味な行動が、カルフの気力を萎えさせる。



(……あぁ、魔物…出て来るなら早くしてくれ。
背中が折れ曲がってしまいそうだ。
だいたい、なにも、こんなに重い荷物にすることないじゃないか。
見た目さえ膨らんで見えたら、なんだって良いんじゃないのか?
藁かなにかで十分なはずなのに…なんで、僕がこんな辛い目に…
……あの女に出会ってからろくなことがない。
あの時だって、僕一人で魔物退治に行ってたらこんなことには……
あ……)

カルフは今頃になって、あらためて大きな矛盾に突き当たった。



(そうだ、すっかり忘れてた…
僕達が魔物を退治に行ったあの神殿はあんなに荒れ果てていたのに、クラウドのいたあの神殿は…)



「う、うわぁっ、な、な、なんだ!!」



カルフの物思いは、突然背中にのしかかった重みによって破られ、カルフは何が起こったかもわからないまま、その場に押し倒された。


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