ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ


「そうだったのですか…そんな楽しい時間を邪魔してしまい本当に申し訳ありません。
天使様がお怒りになるのもごもっともです。」

誰もが不審に感じそうな下手な言い訳を、クラウドがすんなりと受け入れたことにカルフはほっと胸を撫で下ろした。



「それはそうと天使様、ここの支払いのことなのですが…」

クラウドは、言いにくそうに話を切り出した。



「急な事でしたので、私はお金を持っていないのですが…」

「僕もそんなには持ってないけど、今夜の分くらいならなんとか……」

カルフはポケットにあった数枚の銀貨をクラウドの前に差し出した。



「天使様……残念ですがこれはこの世界では使えません。」

クラウドは、受け取った銀貨を見て首を振った。



「えっ!?どうして?」

「どうしてと言いましても…この世界にはこの世界の通貨という物がありますから、残念ながらそれでないと通用しないのです。」

戻された銀貨をみつめながら、カルルは混乱した。



(おかしいじゃないか。
これは、僕が普段使ってたものだ。
なのに、なぜ、クラウドはこの金を天界のものだと考えたんだ?)



「クラウドさん、もう一度よく見て下さい。
このお金は本当に使えませんか?」

クラウドはカルフの言う通り、もう一度銀貨を手に取ったが、クラウドの態度は変わることはなかった。



(……おかしい。
一体、どういう事なんだ?
同じ世界の同じ地域で同じ金を使っていないなんて。
あ……)



「クラウドさん、おかしな質問をしますがあの神殿の名前は…?」

「ターナリア神殿です。」

(ターナリア…うん、そうだ!
確か、宿屋の主人がそんな名前を言っていた。
あの町の名前は……そう、バンナーだ。)



「クラウドさん、神殿の近くの町の名前はバンナーですよね?」

「ええ、そうです。」



(なぜだ?バンナーの傍のターナリア神殿…やっぱり間違いないじゃないか。
だが、あのあたりが日照り続きだって話は聞いてないぞ。
それに、なぜ、この金が使えない?)

カルフの疑問は尽きなかったが、今はそれを思い悩む時間はない。



「仕方がありません。
僕が、宿のご主人に事情を話して交渉してみます。
きっとわかって下さいますよ。」



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