ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ


「やはりそうでしたか。
申し訳ありません!」

「…え?」

「私が、あの時、あなた方を呼び出す白魔術を使ったばっかりに…」

「白魔術…?」

「ええ、実は…」

クラウドはおずおずと事情を話し始めた。
クラウドの住む町は、元々雨が少ない場所ではあったが、数年前から続く日照りにほとほと困り、協議の結果、あそこに雨乞いのための神殿を作る事になったのだという。
しかし、それでもなかなか皆の祈りは届かなかった。
このままではいけない…皆が焦り始めていた。
そんなある時、クラウドの仲間の一人が魔法使いから白魔術の本を譲り受けて来た。



「もちろん、魔術に頼るなどもっての他。
そんなことが聖職者に許される行為ではないことは重々承知しております。
しかし、このままでは町の人達が死んでしまう。
私達は、悩んだ末に、天使様を呼び出す魔術を実行してみることにしました。
神の教えに背く事は大罪ですが、それでも私達は町の人達の命を救いたかったのです。
それも、黒魔術のような禍禍しきものではなく天使様を呼び出すものですからきっと神もわかって下さるに違いない。
都合の良い考えですが、私達はそう考え、あの勉強室で司教様達に気付かれぬよう順番にその魔術を試してみました。
ところが、やはり、魔術などというものは魔法使いではなければ出来ないもの。
誰がやってみてもだめでした。
私もきっと無理だろう…そう思いながらもやってみたところ、あなた方が…!
信じられない想いでした。
ところがタイミングが悪かった。
お二人はちょうどお飲みになってたところだったのですね?」

「え?あ、はぁ、まぁ…そうなんです。
ちょうど日番で久し振りに飲むか〜…なんて言って、羽目をはずしていた所突然…」

カルフは、自分の口をついて出た不自然な言葉に、どこかひきつった笑みを浮かべる。




「やはり、そうでしたか…
だから、こちらの天使様はあんなに不機嫌だったんですね。」

クラウドは眠るアルルに視線を落とした。



「まぁ、そういうことですね。
その人…ではないですね。
その天使は、優秀ではあるのですが酒癖が悪いのが難点でして。」

「どんな方にもそれなりに難点はあるもの…
しかし、なぜゆえに、エルフの格好を?」

「それは…ですね……そ、そう、ちょうど、酔った勢いでエルフの物真似をしていたので…」



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