ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ 終わりのような始まり2


(……マリアン、心配しなくて大丈夫だよ。
僕は、この暮らしがけっこう気に入ってるんだ。
この先、どんな人とどんな出会いがあるのかなんて何もわからないけど…僕はそれが楽しみで仕方ないんだ。)

暗くなり始めた空に向かって、リオは心の中でそっと呟いた。



「あ、明かりが…あそこが町だな…」

ラルフの声で、リオも小さな町の明かりをみつけた。



「……ねぇ、ラルフ……ここから町まで競争しない?」

「競争?……いやだね、そんなガキみたいなこと。」

「じゃあ、良いよ。僕だけ走るから!」

リオは明かりに向かって駆け出した。



「……ったく。」

走るリオを呆れたようにみつめるラルフが、飛び跳ねるように地面を蹴った。



「……あ」

リオの脇を黒い固まりが風を切って追い越していく。



「……おまえは全く足が遅いな。
そんなんじゃ、相手にもなりゃしない。」

ラルフは一瞬立ち止まって振り返り、そんな憎まれ口を叩くと、さらに速度を上げて駆け出した。
リオは、ラルフの後ろ姿をみつめながら苦い笑みを浮かべる。



(……そうなんだ。
僕は子供の頃から足が遅かった…
いつも、マリアンに追い抜かれてばかりで……)



「待ってよ〜!ラルフ!」

手を振りながら声を張り上げるリオに、ラルフは振り向いて、またすぐに駆け出した。
リオもその後を懸命に走り抜ける。
この先に待ち受けるあてのない旅に、大きな期待とほんの少しの不安を胸に抱いて…






〜fin




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