ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ 終わりのような始まり1


「こんなに東までやって来たっていうのに、まだ東に行くとは、一体どういうことなんだ?」

ラルフは、リオを見上げて不思議そうに尋ねた。



「だって……ここまで来たら、東の果てまで行ってみたいと思わない?」

リオは目の前の道から視線をはずさず、ぽつりと返す。



「東の果てなんてあるのか?」

「ラルフ……この世界は丸いんだよ。
だから、僕達が元の場所に戻ったら、きっとそれが東の果てなんだよ。」

「元の場所って……出発点が沼地なら、もう戻ったじゃないか。」

「あれはだめだよ。ちゃんと一周してないもの。」

「……一周したいってことなのか?」

「そうじゃないよ…ただ……」

リオは言葉に詰まって腕を組み、ラルフはリオの顔を見上げる。
リオはふとラルフに視線を移し、二人は互いに顔を見合わせながら、おかしくなって噴き出した。



「何、つまらないことを言ってるんだろうね。
本当はどうでも良いんだ。旅の行き先なんてどこだって。」

「……そういうことだな。」

リオとラルフは、東に続く人気のない街道を歩いていた。
傾き始めた太陽がリオとラルフの影を長く伸ばす。



「この分じゃ、ちょうど良い頃に町に着けそうだな。
……それにしても、レヴィがいないとなんだか寂しいな…」

「そうだね。
……ねぇ、ラルフ…ダーニアスとシューラルフィールはうまくいくかな?」

「おまえなぁ……人のこと心配する前に、自分のことを心配しろよ。
一生、独身なんてことになったら寂しいぞ!」

「…それならそれで良いよ。
僕にはラルフがいてくれるしさ。」

「馬鹿!俺だって良い相手がみつかったら、おまえなんてほっぽってそっちに行くからな!」

「……冷たいなぁ…ラルフは…
あ、そういえば、ラルフ…シューラルフィールがダーニアスにあげたものって何だったの?」

「……おまえ、そんなこともわかってなかったのか…?
あぁぁぁ、駄目だ。
おまえは一生独身だ。
間違いない!」

「どういうことだよ、ラルフ!
ちゃんと教えてよ!」

「そんなこと、自分で考えろ!
……あ、リオ、向こうから誰か来たぞ!」

「え……」

リオは慌てて道の脇にそれ、しゃがんでゆっくりと靴紐を直すふりをする。
旅人は、そんなリオのことを気に留めることもなく通り過ぎていった。


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