ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ シューラルフィール24


「じゃあ…ダーニアスの言う通りにしたら、あなたは私に何をくれるの?」

消え入りそうな小さな声で、シューラルフィールはおずおずと尋ねた。



「……君はほしいものはなんだって手に入れられるじゃないか。
僕が君にあげられるものなんて何もないよ。」

「私がほしいのは、あなた自身なの。
あなたは私がどんなことをしても振り向いてくれなかった。
私はあなたの心がほしい!
そしたら、どんなことだってしてあげる!」

ダーニアスは感情的にそう話すシューラルフィールを、どこか切ない瞳でみつめた。



「フィー…
僕は誰のものでもない。
僕の心は、誰かにあげられるものではないんだよ。
僕の心を君にあげると言葉にすることは簡単だ。
でも、そんなことは何の意味もないこと…
……君はそんな偽りの言葉がほしいのかい?」

シューラルフィールは、まるで叱られた子供のように、今にも泣き出しそうな顔を伏せ、首を振った。



「シューラルフィール、あんたも難しい男に惚れたもんだな。
この男は、普通の人間とはちょっと違うんだ。
普通の人間が目の色を変えて欲しがるようなものには、欠片程の興味も持ってない。
あんたは、この気難しい男が気にいるものをせっかく与えたところだったのに、今またそれを不意にしようとしてるんだなぁ…」

ラルフの言葉に、エルマーも微笑みながら何度も頷く。



「何のことを言ってるの?
私がいつ、ダーニアスに何をあげたっていうのよ!?」

リオもまだそのことを理解出来ず、ラルフの次の言葉を待った。



「ダーニアス、こいつは魔法の腕は優秀かもしれないが、こういうことについては全くだめだな。
誰かが傍にいて教えてやらなきゃならないんじゃないか?」

「えっ!?」

「あんたも、元に戻してもらった恩義があるだろ?
人間、恩義は忘れちゃいけないよな。
ま、どうせ、あんたのことだからすぐに吟遊の旅に出たいと思ってるのかもしれないが…
二人旅っていうのも悪くはないと思うがな…」

「ラルフ……」

複雑な表情でラルフをみつめるダーニアスの横顔を、シューラルフィールは緊張した面持ちで上目遣いに盗み見る。


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