ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ シューラルフィール23


「リオ…どうしてそんなこと考えるんだい?」

ダーニアスの問いかけに、リオは俯いて小さく笑う。



「……シューラルフィールさんが言ったんだ。
他人が僕に感じる負の幻覚は、マリアンの死のエナジーが沼に入ったことでその影響を僕が受けたんじゃないかって…
……そう思うとね…こんな忌まわしい現象もなんだか急に愛しく思えてきてね…まるで、マリアンと一緒にいられるみたいに思えるんだよね…
……やっぱり、僕、おかしいかな?」

ダーニアスは、リオの話を聞いてゆっくりと頷いた。



「そうか……
僕は、おかしいとは思わないよ。
君のその気持ち…わかるような気がする。
その現象は確かに厄介なものだけど、そのおかげで救われた人もいっぱいいたよね。
その人からしたら、君は救いの神だもの。」

リオは照れくさそうに首を振る。



「逆だよ。
誰かの心が軽くなったのを感じたら、僕はそれでちょっとだけ幸せな気分になれた。
こんな僕にも人の役に立てることがあるんだって、僕に勇気を与えてくれた。
救われたのは僕の方なんだ。
……マリアンは複雑な心境かもしれないけど、僕はもう少しこの魔法を持ったままでいたいんだ。
こんなものがなくても寂しさを感じなくなったり、自分に自信が持てるようになったら…
その時にはこの魔法を解いてもらいたいなんて考えてるんだけど……虫が良過ぎるかな?」

「そんなことないさ。
その時が来たら、フィーは必ず解いてくれるよ。
……ね?」

不意に投げかけられたダーニアスの視線に、シューラルフィールは、小刻みに何度も頷く。



「ねぇ、フィー…
この際、ここを改造しない?
魔力を貯める沼は少しだけにして、皆が気分良く過ごせる素敵な空間に…さ。
花や木をいっぱい植えて…綺麗な水が湧き出す泉も良いね。
ここは特別な気の集まる場所だっていってたよね?
じゃあ、それを使って、悲しい心や苦しい心が癒されるような場所にすることだって可能だよね?
君は誰よりも優秀な魔法使いだもの。
そんなことは簡単なことだよね?」

「で、でも…ダーニアス…
そういうものは人間には良くても、魔法使いにとっては何の得にも…」

「フィー……僕は人間だよ。」

シューラルフィールはその言葉にはっとしたように片方の眉を吊り上げ、やがて、何かを考えるように目を伏せた。


- 172 -

しおりを挟む
コメントする(0)

[*前] | [次#]

お礼企画トップ 章トップ

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -