ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ シューラルフィール12






「……なんだかすごい部屋だな。」

ラルフは、部屋にたちこめる得体の知れないにおいに顔をしかめながら、きょろきょろと部屋の中を見渡した。
薄暗いその部屋の床には細かい文字がびっしりと描き込まれた魔方陣が描かれ、壁には中身が何なのかわからない様々な色の小瓶がずらりと並び、台の上には使い古された天秤が置かれていた。
反対側の壁には戸棚が据え置かれ、そこにはリオが思わず顔を背けた薄気味の悪いものが雑然と置かれ、部屋の片隅では見たこともないような大きな鍋が火にかけられ、そこからは白い湯気が立ち昇る。
おかしなにおいはそこから漂っているようだった。



「えっと…まず、あんたが沼に落ちた時のことを教えてちょうだい。」

リオ達は、壁に沿って置かれた長椅子に腰掛けた。
シューラルフィールは、ラルフの話を真面目な顔つきで聞き入り、その間に何事かを紙切れに書きいれる。



「わかったわ。
あんたの処理は簡単に出来そうよ。
次は、リオさん。
あんたが沼に落ちた時のことを教えてちょうだい。
それはブルームーンの日だったのよね?」

「はい…そうです。」

リオは、マリアンを助けてもらうためにシューラルフィールを探し沼地を訪ねたことから、マリアンが息絶え、沼地に落ちた時の状況を克明に話した。



「……そうだったの…
私も困ってたのよ。
でたらめな噂が一人歩きして、私の沼地にやって来る人間達がけっこういたからね…
中には、沼で溺れて死んだ人間もいた…」

「シューラルフィール…沼地に入って俺達みたいに変化が起きる者もいれば、そうやって死んじまう人間もいるのはどうしてなんだ?
そいつらには変化は起きないのか?」

ラルフの質問にリオも大いに興味を示し、二人はシューラルフィールの答えを待った。



「当たり前だろ。死んだ者にはどんな魔法も効力を発揮しないさ。
死んだ者が入った沼地には負のエナジーが混じってしまうから、魔力の質が落ちたり、おかしな風に変化してしまうことだってあるし、とても迷惑なんだよ。」

シューラルフィールの吐き捨てるような口調に、リオはなんともいえない気分を感じ、そっと俯いた。


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