ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ シューラルフィール11






「ねぇ、ダーニアス…あなた、小鳥さんだった時は人間の感情に訴えかける歌を歌ってたって聞いたけど、黒猫ちゃんが言うには、それはリオや黒猫ちゃんには特になにも反応しなかったらしいわよ。
だから、きっと魔法使いにもそれは反応しないだろうって思ってたらしいんだけど、確かに私も良い声だと思っただけでそれほど何かを感じたわけではなかったわ。
でも、シューラルフィールにはすごく伝わったみたいね。
それはなぜなのかしら?」

「……そうですね。
それは……愛…なのかもしれませんね。」

「愛……?」

漠然としたその言葉に、エルマーは小首を傾げる。
ダーニアスはぼんやりとどこか遠くをみつめ、まるで独り言のように呟いた。



「僕自身、伝わるとは思ってませんでした。
でも、彼女には僕のことがわかった。
その時、僕は思ったんです。
彼女の愛は、本物なのかもしれないって……
今まで僕のことを好きだと言ってくれる女性はたくさんいましたが……僕がいなくなってもう何年も経つのにそれでも彼女はずっと僕のことを探し続けてくれて…
……そういえば、僕、一体何年小鳥でいたんだろう?」

ダーニアスは、不意に現実に引き戻されたかのように、エルマーに尋ねた。



「そうね…ブルームーンの年はそんなにないし…リオさんが沼地に行ったのよりは前だから…
……ざっと見積もって十数年って所かしら?」

「そ、そんなに…!?」

ダーニアスは小さな溜め息を吐き、ワインをグラスに注ぎ入れた。



「十数年…短いとは言えない時間ですよね。
エルマーさん……これを愛と呼ばずして、何を愛と呼ぶのでしょう…
……僕は幸せな男ですね…」

ダーニアスは穏やかに微笑み、グラスのワインを一気に飲み干した。


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