ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ シューラルフィール7


「僕の身体はそのままどんどん沈んで……目を開けても水は澱んでいて何も見えなかった。
そのことが妙に怖くて……その上、苦しくもなって来た。
僕はふだんから歌ってるから、普通の人より多少は長いかもしれないけど、人間の息なんてそう長くは続かない。
この苦しさはあとどのくらい続くのか…と、そんなことを考えた瞬間……僕の本能が目覚めたんだと思う。」

「生きたいって本能だな?」

「いや、どっちかっていうと、死にたくないって方だね。
目の前に死が迫って来るのを感じたら、なぜだかそれを受け入れたくなくなった。
僕は必死になってがむしゃらに手足を動かした……と思うんだけど、実はそのあたりのことがはっきりとは思い出せないんだ。」

「それは半分死にかけてたんだぜ。」

「きっと、そうだね。」

そう言って微笑むダーニアスを見て、シューラルフィールは眉間に深い皺を寄せた。



「笑い事じゃないぞ。
考えてもみろ、あの時、たまたま俺が通り合わせたのは、きっと奇跡的な確率だぞ。
俺が通ってなけりゃ、おまえは間違いなく死んでたぜ。」

「うん、そうだろうね。
君は、きっと天使なんだよ。
僕をまだ死なせたくないと思った神様が仕わされた天使だね。」

「俺は黒猫なんだから、どっちかっていうと死神のはずだけどな。
……それで、助けられたら小鳥になってたってわけなんだな。」

ラルフのおかげで早いペースでどんどんと話が進められていくことに、ダーニアスは少し困ったような表情を浮かべ小さく肩をすくめる。



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