ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ シューラルフィール4






「なんだか……懐かしい……」

「そんなことかよ?
俺達が一年近くかけて歩いた道を、一時間もかからないうちに戻ったことへの驚きはないのか?」

「シューラルフィールだったら、一秒もかからないわ。」

リオとラルフは、エルマーの魔法によってシューラルフィールの沼地へ戻った。
瞬き一つするかしないかの間にエルマーの家を離れ、どこかはっきりとはわからない見知らぬ場所でエルマーの魔力が回復するまでしばらく休み、そんなことを二度程繰り返した後にリオ達は沼地に辿り着いた。



「まぁ!灯りが点いてるわ!」

エルマーが驚きの声を上げた。



「あれは…もしかしたら、シューラルフィールの家?」

それは、沼地にはとても不似合いなモダンで立派な屋敷だった。



「そうよ。」

「ラルフ、ここには家はなかったんじゃ…」

「あぁ…俺は長い間ここに住んでたが、こんな家、見た事ないぞ。」

エルマーはリオの質問にくすりと笑う。



「シューラルフィールがここに来た時だけ気まぐれに建てるのよ。
前に来た時は、もっと小さくて古い山小屋だったわ。
その時の気分で建てるの。
彼女にとってはそんなこと、簡単なことだから。」

「なるほど…だから、ここには家はなかったんだな。」

二人と一匹は、シューラルフィールの家を目指した。









「エ、エルマー…」

扉を開けたシューラルフィールは、訪問者の顔を見て、決まり悪そうに目を伏せた。



「酷いじゃないの…勝手に小鳥さんだけ連れて帰ってしまうなんて…」

「ごめんなさい……
とにかく、入って。
あなたも…
詳しいことは、中で話すわ。」

家の中は、建物の外観同様、上等な家具が品良く配置された気持ちの良い空間になっていた。
壁には、のどかな田舎の風景画と白い馬の絵が飾られ、天井には繊細な硝子細工のシャンデリア、床には複雑な模様を織り込んだ絨毯が敷き詰められていた。



(たった数時間でこんなものを作り出してしまうなんて…
シューラルフィールは、噂通り、すごい魔法使いなんだな。)

部屋の中をきょろきょろと眺めながら、リオはあらためてシューラルフィールの優秀さを感じていた。



「さぁ、どうぞ。」

シューラルフィールは、廊下の突き当たりの扉を開く。
そこは広い居間で、椅子に腰掛けた何者かの美しい金髪の後姿が見えた。


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