ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ シューラルフィール2


「シューラルフィール…
あなたはちっとも変わらないのね…」

シューラルフィールをなんとも言えない哀しい瞳でみつめるエルマーに、シューラルフィールは間髪を入れずに言い返す。



「エルマー!あなただって知ってるでしょう!?
私が、どれほど苦労してあの魔法を完成させようとしているかってことを…
それなのに、こいつらは私の魔法を勝手に使った…
その上、それに対して文句を言ってくるなんて、どうかしてるわ!」

目を吊り上げ、感情を高ぶらせるシューラルフィールに、エルマーもすぐには返す言葉がみつけられなかった。
気まずい雰囲気の中、唐突にレヴィが歌を歌い始めた。



「なによ、こんな時に……」

レヴィを睨むシューラルフィールの視線も気にすることなく、レヴィは歌を歌い続けた。
それは、今までリオが聞いたことのない、いつもとはどこか違う歌声だった。



「とっても良い声ね……」

目を閉じてうっとりと聞き入るエルマーとは裏腹に、シューラルフィールはだんだんと落ちつきをなくしていった。
彼女の瞳が不安そうにゆらゆらと動く…
やがて、その緑色の瞳からは、大粒の涙が溢れ出した。



「シューラルフィールさん……?」

その様子に心配したリオが声をかけても、まるで何も聞こえていないかのように、シューラルフィールはレヴィを見つめ、止まらない涙を何度も何度も指で拭う。



(シューラルフィールったら、どうしたのかしら?)

エルマーは小声でラルフに問いかけた。



(きっと、レヴィの歌が心に反応してるんだろうな。
レヴィの歌は俺やリオには反応しないから、魔法使いにも当然反応しないもんだと思ってたが……)

(そうだったの…
彼女は、とても感性の豊かな子だから、人間と同じように反応してしまうのね。)

ひそひそと話を交わす二人の前で、シューラルフィールはそっとレヴィに片手を差し伸ばす。
レヴィがその掌に停まった瞬間、シューラルフィールとレヴィの姿はその場からかき消えた。



「あっ!!」

残された三人は、目の前の光景に短い叫び声を上げた。


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