ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ シューラルフィール1


「そうだったんですか…シュー」

リオが話しかけたちょうどその時、家の方からはっきりした声が響いた。



「エルマー?
エルマー、いないの?」

その声にエルマーは立ちあがり、リオに向かって微笑みかけた。



「ついに、あなたの待ち人が来たわよ。」

「えっ!?」

「シューラルフィール!ここよ!」

リオが驚きから覚めないうちに、そこに一人の女性が現れた。
ずいぶんと背が高く、顔つきは理知的でありながら、その表情からは感情的な部分も感じられた。



「……あら、お客さんだったの。」

シューラルフィールはリオを一瞥し、興味なさげにすぐにエルマーに視線を戻した。



「シューラルフィール、こちらはリオさん。
あなたに用があって、訪ねて来られてたのよ。」

「私に用…?
……もしかして、ダーニアスのことなの?」

「い、いえ…そうじゃなくて…」

「なんだ…違うの。
じゃあ、あんたに用はないわ。
ねぇ、エルマー…ダーニアスのこと、なにかわかった?」

エルマーは、シューラルフィールの態度に、小さな溜め息を吐いた。



「あなたって人は、本当にもう…
まずは、ここへ座って。
すぐに、お茶を煎れて来るから、その間、リオさんの話をよく聞きなさい。
あなたのせいで、大変な目に遭われてるんだから…」

「私のせいで…?!」

「あぁ、その通りだ。」

ラルフの声にシューラルフィールは一瞬驚いた様子を見せた。



「……あんた達、私の沼に入ったのね!」

察しの良いシューラルフィールは、すぐさま、ラルフの異変の原因を理解した。



「あぁ、その通りさ。
おかげで、俺は人間の言葉が喋れるようになった。
その代わり、雨の日には酷い痛みを感じるようになったけどな。
だが、俺よりも一番被害を受けたのはこのリオだ。
こいつは、明るい間、こいつを見た相手が一番恐怖を感じる者に見えるようになったんだ。
そのせいで、こいつは自分の住む村にもいられなくなった。
どこへ行っても、まともな暮らしが出来やしない。
だから、なんとかしてもらおうと、ずっとおまえを探してたんだ。」

「馬鹿なことを言わないで。
あんた達は勝手に私の沼地に入り、そしてそんなことになった。
文句を言いたいのはこっちの方だよ。
時々、沼の魔力がごっそり減ってる時があったのはあんた達のせいだったんだね。
私は、あんた達に魔法をかけるために魔力を培養してるわけじゃないんだからね!」

シューラルフィールは、鋭い視線でラルフを睨みつけながら、怒りを顕わに言い放った。


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