ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ エルマー5


「そういえば、シューラルフィールが、ダーニアスにとんでもない贈り物を考えてるっていうのは本当なのか?」

その言葉に、エルマーは少し驚いたような表情を見せた。



「おやまぁ、あなたは本当になんでもよく知ってるのね。
……その通りよ。
ダーニアスは、シューラルフィールがどれほど手を尽くしても、彼女になびくことはなかった。
『僕は世界中を旅して歌を歌いたいだけなんだ。』
彼は決まってそう言うだけだったんですって。
それならいっそ、おまえなんて嫌いだって言われた方がまだ良いのにって、彼女、嘆いてたわ。
多分ね、ダーニアスもシューラルフィールのことが嫌いなわけじゃなかったんだと思うわ。
彼の言葉は、そのまんま本心でそれ以上なにも含まれてはいなかったんだと思う。
……彼は根っからの詩人だったんだわ。」

エルマーは夢見るような視線を空へ預ける。



「それで、シューラルフィールはダーニアスに永遠の命を与えることを思いついたんだな?」

ラルフの言葉が、そんな彼女をすぐに現実に引き戻した。



「……ええ、そうよ。
そうすれば、彼は一生世界中を旅して、そしてずっと歌を歌い続ける事が出来るでしょう?」

「え…?
シューラルフィールは、それでダーニアスの気を引こうと思ったんじゃないのか?
永遠の命をちらつかせば、奴が自分になびくと思って…」

「いいえ、違うわ。
いえ……もしかしたら最初はそうだったかもしれないわね。
でもね……女にとって一番嬉しいのは、愛する人に喜んでもらうことなの。
シューラルフィールは、ダーニアスを喜ばせたくてそれでそのことに一生懸命になった。
永遠の命は、どんな魔法使いにも出来ない魔法。
今までどれほどの魔法使い達がそれに挑戦したかわからないわ。
でも誰もなしえなかった究極の魔法よ。
いくら、あのシューラルフィールでもそう簡単に出来る筈がない。
彼女は、寝る暇も惜しんで勉強し、必要な材料を集めるために奔走したわ。
でも、皮肉なものね…その間に、彼と連絡が取れなくなってしまったの。
やっと、一段落して彼を探しに行ったら、彼は見当をつけた場所にはいなかった。
どこを探しても、彼の姿はどこにも見えなくなっていたの…」


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