ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ エルマー3






「あぁ見えても、あの子はけっこう一途で純情な所もあるのよ。」

そう言って、エルマーはカップのお茶をゆっくりと流しこむ。



「そうなんですか?」

森の中を吹き抜ける心地良い風が、意外な顔をしたリオの頬をそっと撫ぜた。
こういう日の昼下がりには、庭でお茶を飲みながら、エルマーの焼いたクッキーを食べるのが習慣になっていた。
そういう時間に、エルマーはよくシューラルフィールのことをリオに話して聞かせた。
シューラルフィールは噂通り、生まれついての優秀な魔法使いだということだった。
優秀な両親から生まれた優秀な子供…それがシューラルフィールだ。
彼女は、並外れた魔力を持って生まれ、その上、両親から英才教育を受けたため、その魔力はさらに強大で優れたものとなった。
天は二物を与えずという諺を覆すように、彼女はその容姿もまた人並みはずれて素晴らしいものだった。
そんな彼女だから、当然、周りからは常にちやほやされ、それが彼女を気まぐれで我が侭な性格に成長させたが、それも無理からぬ事だと溜め息混じりにエルマーは言った。



「彼女はあまりに優秀すぎて、いつの間にか彼女の周りには注意をするような人は誰もいなくなってたのね。
彼女の周りにいる人達は、彼女のご機嫌をうかがうような人ばかりだった。
特に男性はそうだったわ。
……だけど、ダーニアスは違った。」

「そいつは、シューラルフィールに何の関心も示さなかったってわけだな。」

エルマーの話に興味なさげに木の根元に寝転んでいたラルフが、不意に口を挟んだ。


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