ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ ジョン37


「なんだか…不思議なくらい、うまくいったな…」

「そうだね…僕、もっと時間がかかるって思ってた。
だって、何十年もずっとアンドリューさんはあんな風に生きてきたのに、その生き方がウォルフボーラスに会っただけで一瞬で変わるなんて…」

「……奴はな、きっと、ずっとやめたかったんだ。」

「え?!」

ラルフの不可解な言葉に、リオは思わず問い返す。



「あいつ自身も、あんな生き方が良くないってことはどこかで感じてたんだな。
嘘を吐く度に奴の心には重いものがたまり、ウォルフボーラスへの恐怖が大きくなっていってたんだろう。
でも、それをやめるきっかけが掴めなかった。
どうやったら自分が楽になれるのかもわかっちゃいなかったんだ。」

「……そうか…
ウォルフボーラスに会ったことで、彼はそのきっかけをつかむ事が出来たんだね。」

リオはそう呟くと、心に温かいものを感じながら、星の瞬く夜空を見上げた。



「ま、そういうことだな、
あんな年になっても怖いものがあるなんて、あいつは本当は子供みたいに心の綺麗な奴なんだろうな。
おまえの下手な芝居も、今回は役に立ったってわけだな!」

「下手な芝居とは酷いな………あーーーー!」

ラルフの言葉に失笑したリオが、突然、大きな声を上げた。



「なんだよ、どうかしたのか?」

「どうしよう…僕……大きな間違いをしてた!」

「大きな間違いだって?
一体、何を間違ったっていうんだ!?」

「ウォルフボーラスは、頭のてっぺんから出るような甲高い声を出すんだった…
なのに、僕、低い声でしゃべっちゃった…」

「……なんだ、そんなことか…」

ラルフは、心配そうな顔をしたリオの言葉を鼻で笑う。



「あいつはそんなことに気付くだけの心の余裕はなかったさ。
それに、今更、そんなことに気付いたからってどうするんだ?
今からもう一度やり直すわけにもいかないだろ?」

「……それはそうだけど…
あぁぁ、なんだかショックだよ。
やっぱり、なんでも思いつきだけじゃやっちゃいけないね。」

リオは、渋い顔で頭をかく。



「いや、そうでもないぞ。
現に今回は、こんなにうまくいったんだからな。
……ただ、芝居は酷かったけどな…あんな大根役者は見た事ないぞ。」

「そのことは、もういいってば!」


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