ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ ジョン36






「本当に行くのか?」

リオはその問いに黙って頷いた。



「せめて、明日の朝になってから行けば良いのに…」

「ここじゃあ、そんなにたくさん泊まれないだろ?
それに、リオがいたら邪魔なんじゃないのか?」

「ば、バカッ!
邪魔なんてそんなこと…」

横から口を挟んだラルフの言葉を、アンドリューは慌てて打ち消した。



「ラルフったら……
でも、人前ではあんまり話さない方が良いわよ。
人間にはあなたみたいな不思議な猫を利用しようと考える人もいるかもしれないわ。」

「大丈夫だ。
俺は、ウォルフボーラスにアンドリューの見張りを頼まれた。
つまり、見張りをしなくなったらきっとまた喋れなくなると思うんだ。」

「なるほど…ウォルフボーラスのことだから、そのくらいのことは考えてるかもしれないな。
……しかし、おまえは猫のくせに本当に頭が良いんだな!
あ、でも、勝手に見張りをやめたりしたら、ウォルフボーラスが怒るんじゃないか?
まさか、今度はおまえをさらいに来るんじゃ…」

「それはないさ。
だって、奴の鉱物は人間の干物なんだぞ。
猫の干物じゃないんだ。」

ラルフのどぎついジョークに、スージーとリオは眉をひそめる。



「大丈夫だよ。
アンドリューさんは、もう嘘は吐かない。
嘘を吐かない人に見張りなんていらないもの。
だから、ラルフもお役ごめんってことになるんじゃないかな?」

「……きっと、そうだな。」

ラルフは、リオを見上げいつもの微笑を浮かべた。



少し早めの夕食を食べた後、リオは突然旅立つ事をアンドリューに告げた。
アンドリューは驚き、リオを引き止めたが、リオの決心は変わらなかった。



「じゃあな、またいつでも会いに来てくれよ。
……多分、今度会う時は、俺達、あの町に住んでると思うけど…」

ほんのりと頬を染めたアンドリューはスージーをちらりとみつめ、スージーははにかんでそっと俯いた。



「……リオはその時もきっと一人なんだろうなぁ…」

「ラルフ!」

明るい笑い声に包まれながら、リオはアンドリューの小屋を離れ、暗い夜道を歩き始めた。


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