ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ ジョン32


「驚かせてすまなかったな。
俺はただ人間の言葉が話せるだけだ。」

スージーは、目を丸くしてラルフをじっとみつめる。



「座んなって。」

「スージー、こいつなら大丈夫だ。」

「え…ええ。」

ようやく落ちつきを取り戻したスージーは、ラルフから目を離さないまま、再び椅子に腰掛けた。



「さっきは知らんふりしたくせに、今更何なんだよ。」

「そう怒るな。
スージーは、俺が話さなくてもおまえのことを信じてくれたんだから良いじゃないか。」

そう言うラルフの顔に浮かんだおかしな微笑に、スージーは一瞬身を強張らせ、そして、次の瞬間、噴き出した。



「なんて可愛い猫ちゃんなんでしょう!
ジョン、いつから猫なんて飼ってたの?」

「違うよ。
それはリオの猫だ。
ウォルフボーラスに魔法をかけられて喋れるようになったんだ。」

「まぁ、そんなことが…!
……そういえば、リオさんは?
どこかへおでかけなの?」

スージーは、狭い部屋の中を見渡した。



「それが、まだ帰って来ないんだ。
昨夜は、おまえをどこまで送って行ったんだ?」

「えっ!?一体、どうなさったのかしら?
リオさんは、私を町まで送って下さって、そのまますぐに戻って行かれたのよ!」

「なんだって?そりゃあ、おかしいじゃないか。
リオの奴、まさかどこかで…」

アンドリューの顔つきが強張ったものに変わり、眉間には深い皺が刻まれた。



「あぁ、あいつのことなら心配することはない。
きっとどこかで眠りこけてるか、道でも間違えておかしな所に行ってるんだろう。
あいつは抜けてるから、そういうことはよくあるんだ。」

「そんな悠長なことを言ってて大丈夫なのか!?
探しに行った方が…」

「本当に良いんだって。
じきに戻って来るから。
そんなことより、おまえ…俺が散歩に出掛けてる間に嘘なんて吐いてないだろうな?
俺は、おまえの見張りをウォルフボーラスに頼まれてるんだからな。」

ラルフは、アンドリューがリオを探しに出ていかないように話題をすり変えた。



「大丈夫よ、猫ちゃん。
ジョンは、何一つ嘘は吐いてないわ。」

スージーは身をかがめ、ラルフの頭を優しく撫ぜる。
ラルフは気持ち良さそうに首を伸ばしているかと思うと、不意にテーブルの上に飛び乗った。


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