ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ ジョン31


「ジョン…あなた、本当になにも知らなかったの…?」

アンドリューは、俯いたままで小さく頷く。



「……黒猫の言った通りだ。
俺は嘘ばっかり吐いてるうちに、誰のことも信じられなくなってた。
何度も話そうとしたおふくろの言葉にも俺は耳を塞いだ。
どうせ、親父をかばって都合の良い話をするんだと思って、俺……母さんの話を聞こうとしなかった…」

アンドリューは肩を震わせ、唇をきつく噛み締めた。



「ジョン……」

「俺は…こんな大切なことも知らずにいたのか…」

ゆっくりと話すアンドリューの瞳からは、また、熱い涙がこぼれ落ちていた。



「ジョン…私…あなたの話を信じるわ!」

「え…?」

アンドリューは顔を上げ、涙で潤んだ瞳をスージーに向けた。



「あなたがウォルフボーラスに会ったって話…私、信じるわ!」

「……良いんだ、スージー…
無理しなくても…」

「無理じゃない!
……だって、あなたがこんなに急に変わってるんですもの。
何もなくて、こんなに急に人の気持ちは変わらないわ。
そうよ…あなたは、本当にウォルフボーラスに会ったのよ!
そうじゃなきゃ、説明がつかないわ!」

スージーは、興奮したようにいつもより早口でそうまくしたてた。



「……ありがとう、スージー…
でも、俺…そんなに変わったか?」

アンドリューは、苦い笑いを浮かべながら、頬の涙を指で拭った。



「変わったなんてもんじゃないわ。
まるで、別人よ!
でも…きっと、あなたは本来のあなたに戻っただけなのよ。
あまりにも過酷な環境だったから…あなたは変わってしまってただけ。
……自分を守るためには仕方のないことだったんじゃないかしら。」

スージーは、そう言いながら、ジョンの手に優しく自分の手を重ねる。



「……よく出来た女だな。
アンドリュー、おまえにゃもったいないぞ!」

「だ、誰っ!?」

不意に響いた低い声に、スージーは驚き、きょろきょろとあたりを見渡す。



「スージー、俺だよ。
俺…」

「ま、まさか……!」

ゆっくりとスージーに近付くラルフに、スージーは驚愕し椅子から立ちあがった。


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