ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ ジョン28


「ジョン!」

スージーは涙で潤んだ瞳でアンドリューをじっとみつめていたかと思うと、突然、その身体を抱き締めた。




「な、な、なにするんだ!」

思わぬ事態に焦ったアンドリューは、スージーを押し戻そうとするが、スージーはアンドリューをしのぐ力で彼の身体にしがみついた。



「可哀想に…
ジョン、あなた、きっと疲れてるんだわ。
こんなに痩せてるし、栄養もたりないのね…
でも、心配することなんてないのよ。
すぐに良くなる…
私、あなたが良くなるまで傍にいるから、あなたは何も心配しなくて良いのよ…」

「な、な、何わけのわからないこと言ってるんだ!
こ、こらっ!黒猫!
おまえ、顔なんて洗ってないでなんとか言ってくれよ!」

ラルフは、ジョンの顔を見ていつもの笑いを浮かべると、大きなあくびを一つする。



「く、く、黒猫ーーーーー!」

ラルフのあくびに声を荒げたアンドリューに目もくれず、ラルフは、悠々と外へ出て行った。



(うまい具合に誤解してくれたもんだな…)

アンドリューとスージーのこれからのことを想像し、どこかおかしそうな表情を浮かべたラルフは、尻尾を真っ直ぐに立て畑のあぜ道を歩く。



「ラルフ…こっち、こっち!」

「ん……リオ!
そんな所にいたのか!」

倉庫の影から顔を出したリオは、ラルフに小さく手招きをする。



「アンドリューの様子はどう?
さっき、スージーさんが来ただろ?
彼はウォルフボーラスのことを、スージーさんに言ったかい?」

「あぁ、言ってたぞ。
俺が話せることもな…だけど……」

ラルフは、リオが小屋を出てからのことを話して聞かせ、リオは、昨夜、町に着くまでの間にスージーから聞いた話をラルフに話した。



「なるほどな…
だから、おまえはあんなことを知ってたのか。
……それにしてもえらく思いきったことをしたもんだな。」

「そうだね…僕もちょっと驚いてるんだ。
君にも相談せずにこんなこと急にしてしまうなんてね。」

「……そんなにあいつのことが気になったのか?」

「……うん…なんでかわからないけど…
……とにかく、なんとかしたかったんだ。
もうウォルフボーラスに怯えなくてすむように…
彼の心を軽くしてあげたかったんだ。」

リオは、独り言のようにそう呟いて高く青い空を見上げる。



「きっと、もう今のあいつには、おまえの姿はウォルフボーラスには見えないと思うぜ。」


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