ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ ジョン27






「どうだ?うまいか?
これは、昨日、スージーが持って来てくれたもんなんだ。
今までの俺だったら、絶対に猫にこんなもんやらなかったぞ!」

「変われば変わるもんだな。」

ラルフは顔も上げずにそう返すと、魚の切り身をかぶり続ける。



「ウォルフボーラスもめしくらい食べて行けば良いのにな。」

「奴の好きなものはこんなもんじゃなくて、人間の干物なんじゃないのか?」

「えっ!?」

アンドリューは眉をひそめ、ラルフをじっとみつめた。



「……なぁ……猫って、みんな、おまえみたいに毒舌なのか?」

「……さぁな、他の猫としゃべったことはないからわからないな。」

素っ気無いラルフの返事に、アンドリューは諦めたように小さな溜め息を吐くと、再び食事を口に運び始めた。



「それにしてもリオの奴、遅いな…」

「あいつはのんびりした奴だから、帰りに眠くなってどこかで寝てるのかもしれないぞ。
ま、心配しなくても暗くなったら帰って来るだろうよ。」

「まさか…いくらなんでももっと早く…」

ちょうどその時、扉を叩く音が部屋の中に響いた。



「ほらな…やっと帰って来た!
リオー、早く入って来いよ!」

その声に応ずるように扉が開き、入って来たのはリオではなくスージーだった。



「ス、スージー!
い、一体、どうしたんだ!?」

「どうしたって……
あなたこそ、どうしてこんな時間に食事なんてしてるの?
畑にいなかったから、具合でも悪いんじゃないかって心配したわ。」

「あぁ…今日はちょっと大変なことがあってな…
実はな、スージー……聞いて驚くなよ!
今朝早く、ここにウォルフボーラスが来たんだ!」

その言葉に、スージーは片方の眉を吊り上げた。



「ジョン…どうしたの?
何があったの?」

「何って…だから、ウォルフボーラスが……」

「ジョン!しっかりして!
あんなものは御伽話なのよ。
ウォルフボーラスなんて、この世にはいないの!」

スージーは、アンドリューの両腕を掴み、真っ直ぐに彼の瞳を見据えながら諭すように話した。



「スージー、信じられないのは無理もないけど、本当のことなんだ。
な、黒猫!おまえからも言ってやってくれよ。
本当にウォルフボーラスがここへ来たんだって!
スージー、こいつな、人間の言葉がしゃべれるんだ!」

ラルフは、アンドリューのことを無視し、ゆっくりとした仕草で顔を洗う。


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