ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ ジョン25


「……嘘ばっかり吐いてるとな、他人の言ってることも嘘に思えるようになってくるもんなんだ。
自分を信じられないから他人も信じられない。
他人を信じないから、他人からも信じてもらえない。
そうやって、どんどん本当のことがわからなくなっていくのが嘘の恐ろしい所だな。」

ラルフの顔を見て、先程のおかしな声がラルフの笑い声だったことにアンドリューは気が付いた。



「アンドリュー、おまえのおふくろさんは親父さんをかばったって言ったな。
本当に悪い奴っていうのは、そんな風にはかばってもらえないもんだぜ。
おまえ…親父さんの思い出はまったく覚えてないのか?」

「え…そ、それは…」

アンドリューは、ラルフに言われ、幼い頃の父親の記憶をたぐり寄せた。
脳裏に浮かんだその顔ははっきりしたものではなかったが常に笑っており、優しく手を引いてくれたその大きな掌の温もりをアンドリューは思い出し、胸に熱いものが込み上げた。



「……アンドリュー、すぐにとは言わない。
いつか、親父さんを訪ねてみてはどうだ?
本当のことを知る勇気がわいたら、その時に…
そうすれば、きっと、おまえの気持ちは今よりももっと晴れやかなものになるんじゃないか?」

「で…でも、俺……」

「だから、すぐに行けとは言ってないだろ。
おまえがそういう気持ちになったら…その時で、良いんだ。
俺はそろそろ行くが、おまえが嘘を吐かないかどうかを確かめるために、その黒猫を置いていく。
おまえが嘘を吐くようなら、またすぐにやって来るからな!
……では、そこの黒猫、頼んだぞ!」

「あぁ、任せとけ!」

「あ…ま…待って……」

リオとラルフは、アンドリューに気付かれないように目配せを交わし、リオはアンドリューが何かを言おうとしているのも聞かず、そのまま外へ飛び出した。


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