ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ ジョン23


「だけど…リオは……」

アンドリューは俯き、とても小さな声で呟いた。



「リオはおまえが貴族の息子じゃないことくらい知っている。」

「え……」

その言葉に、アンドリューははっとしたように顔を上げ、ラルフをみつめた。



「その通りだ。
リオは、おまえの嘘にはきっとなにか事情があるんだろうと思って、問いたださなかっただけだぞ。」

アンドリューは、さらに驚いた表情でリオの方へ視線を移す。



「お、おまえ…リオのことも知ってるのか!?」

「当たり前だ!
俺を誰だと思ってるんだ。
ウォルフボーラスだぞ!」

アンドリューは、その言葉に小刻みに何度も頷いた。



「そうだったな…おまえにはすべてお見通しなんだな…
そうか…リオは、知ってて問いたださなかったのか…」

アンドリューは、そう言ったっきり、何かを考えるように黙ったままで俯いた。



「……質問は終わった。
おまえは俺の質問には嘘を吐かなかった。
だが、おまえは今まであまりに多くの嘘を吐き過ぎた。
……これは許しがたい大きな罪だ。」

「えっ!そ、そ、それじゃあ、俺は……」

アンドリューは青ざめた顔を上げ、リオの次の言葉を待った。



「アンドリュー…おまえは嘘の木に吊るされるのはいやか?」

「い、いやだ!
俺は…俺は、エイミーが結婚して幸せになる姿を見るまでは…」

「おまえはそれだけのために死にたくないのか?
他には、本当〜〜に何ひとつ希望はないのか?」

アンドリューの瞳に、再び涙が溢れ、頬を伝って流れ出した。



「……ウォルフボーラス…どうせもうわかってると思うけど、俺の本当の名前はジョンだ。
平凡なこの名前が昔から嫌いだった。
貴族の名前にしても似合わないと思って、アンドリューにした。
いや……ちがう。
……本当はジョンって呼ばれると、いじめられてた子供の頃を思い出した…だから、いやだったんだ。
アンドリューって呼ばれると、なんとなく違う人間になれたような気がしてほんの少し気持ちが楽になった。
……こんな暮らしだって、本当はいやなんだ。
いくら貧乏には慣れてるっていったって、もう少しマシな暮らしがしたい。
やろうと思えば出来るんだ。
……俺は、借金を払い終えてから頑張ってやっとの思いで外の畑を買った。
贅沢は出来ないにしても、人並みの生活が出来ないわけじゃない。
でも、そうしたらエイミーに贈る宝石がなかなか買えないからこんな暮らしをしてるんだ。
それに…俺だって本当は幸せになりたい。
ひとりぼっちも寂しい…
家族がほしい…
でも、俺は……」

そう言うと、アンドリューは両手で顔を覆い、止まらない涙に顔を濡らした。


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