ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ ジョン22


「……なぜ、スージーにおまえの気持ちを伝えないんだ?」

平然と尋ねるラルフに、アンドリューはしばらくしてようやく返事を返した。



「い、言えるわけないだろ!
俺は、犯罪者の……殺人者の息子なんだぞ!
俺なんて、一生、誰も好きになっちゃいけないんだ!
好きになったら、相手に迷惑をかけちまう…
それに、俺は、エイミーのためにも金持ちにならなきゃならないんだ。
エイミーは言った…
結婚する時には、兄として絶対に式に出席してくれって…
……もちろん、俺は、そんな所に出るつもりはない。
出られる人間じゃないからな。
だけど、俺……あいつに宝石を買ってやりたいんだ。
結婚式につけても恥ずかしくないネックレスを買ってやりたい。
そのために、こんな暮らしをしてるんだ。
俺は貧乏には慣れてる。
切り詰められるだけ切り詰めて、金を貯めて…」

「それでエイミーは喜ぶのか?」

アンドリューの話を遮り、ラルフが発した一言に、アンドリューは驚いたような表情を浮かべた。



「おまえがエイミーのことを想うのと同じく、エイミーだっておまえのことを想ってるんだぞ。
エイミーはきっとおまえの本心をわかってる。
おまえが、エイミーに苦労をかけまいと考えて養子に出したことを。
エイミーは、おまえばかりが苦労して来たことを今でも気に病んでいるはずだ。
おまえのことだからこんな暮らしをしてることもエイミーには言ってないんだろう。
今は、満たされた生活をしてるとかなんとか、どうせまたそんな嘘を吐いてるんだろうな。
でも、そんなものはすぐにバレるぞ。
おまえのそのやせこけた身体や艶のない髪を見るだけでも、普段から良いものを食べてないことはすぐにわかる。
良いか、アンドリュー、もらって嬉しい贈り物は、高価なものばかりじゃないぞ。
エイミーが待ってるのはネックレスじゃなくて、元気なおまえの姿だ。
幸せな兄の姿だ。
一生、誰のことも好きにならないなんて言う兄の姿じゃない。
殺人者の子供が幸せになっちゃいけないのなら、エイミーだって同じなんだぞ。」

「ね、猫の癖に、生意気なことを言うな!!」

アンドリューは枕をラルフに投げつけたが、ラルフは軽く身を翻し、難なくそれをよけた。



「ほら…おまえはちょっとしたことでもすぐにカッとなる。
普段からゆとりがないんだ。
心が落ち着いてない奴程、すぐに怒るもんだ。
そんな風じゃ、おまえがどんなに嘘を吐いてもすぐにバレるぞ。」


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