ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ ジョン20


「しかし、それならもっと別の言い方があったんじゃないか。
邪魔だなんて言われたら、エイミーは……」



「それを責めるのは酷なんじゃないか。
そいつもまだ若かっただろうしな。
当時のそいつにしたら、きっと精一杯考えた末に出した答えだったんだろうよ。」




「ひっ…」

突然、部屋の中に響いた低い声に、アンドリューはその声の主を探し、その声がリオの黒猫から発せられていることを知ると、顔をひきつらせ、目玉が飛び出んばかりに瞳を大きく見開き、言葉にならない声を上げた。



「い、い、今、おまえ…」

「なんだ?
俺がしゃべっちゃ悪いのか?」

「な、な、な……」

アンドリューは、唇を震わせ、何かを言おうとするが、それは言葉にならなかった。
調子に乗ったラルフは、アンドリューに向かってにっこりと笑って見せた。



「し、心配するな!
その猫には俺が今魔法をかけた。
猫がしゃべれるようになる魔法だ!」

アンドリューのあまりの驚き様に、リオは咄嗟に辻褄合わせの嘘を吐いた。



「えっ!……そ、そうだったのか……
お、驚かさないでくれよ。
お、俺……本当に、もう……」

リオの言葉を聞いて、アンドリューはようやく胸を撫で下ろし、深く息を吐き出した。



「……まぁ、とにかくだな。
その黒猫が言うのももっともなことだな。
おまえが、エイミーを思って吐いた嘘だということは最初からわかっていた。
つまり、今回もおまえは正直に話した。
よし。」

「そりゃあ、俺は昔っから嘘吐きだけど、ここまで来て嘘なんか吐かないよ。
嘘吐いたって、どうせおまえにはわかるんだしな。」」

アンドリューは、珍しく真っ直ぐにリオを見てそう言った。



「良い心がけだ。
ついでに聞くが…今はおまえはそのことをどう思ってる?
彼女を養子に出したことは正しかったと思ってるか?」

「思ってる…
その夫婦は、エイミーに本当に良くしてくれた。
学校にも行かせてくれたし、習い事もさせてくれた。
エイミーがたまに屋敷を抜け出して俺に会いに来たが…その度にあいつはとても綺麗で上品で…まるでどこかのお姫様みたいになっていった。
生活が変わると人間はこんなにも変われるんだって俺は思い知った。
どこから見ても立派な金持ちのお嬢様だ。
もう誰もエイミーのことをいじめたり馬鹿にすることなんて出来ない。
それを思うと、俺は嬉しくてたまらなかったよ。
……それだけじゃない。
その夫婦は、おふくろの割った壷の代金も支払ってくれるって言ったんだ。」


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