ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ ジョン14


「そうだったんですか…」

リオには今まで見えなかったアンドリューの人となりが、なんとなく見えて来たような気がした。
彼が、ただの嘘吐きではないということも…
そして、そんなアンドリューを救ってやりたいと思う気持ちがますます大きくなってくるのを感じていた。



「リオさん、どうかこれからもジョンと仲良くしてあげて下さいね。
あの人、今まで友達って呼べるような人がほとんどいなかったんです。
彼の家は町のはずれでしたし、一家は孤立してましたから、いつも彼はエイミーと一緒でした。
他の子供と遊んでるのは見た事がありません。
私が初めて彼を見たのは、あの町に住む親戚の家に行った時のことでした。
まだ小さい時だったと思います。
どんなきっかけだったのかはもう忘れてしまいましたが、私はジョンやエイミーと知り合い、なんとなく気があってよく遊ぶようになったんです。
小さな頃、彼はよく言ってました。
悪いことをして捕まった父親は本当の親じゃなくて、自分の母親はどこかの国のお姫様で、幸せに暮らしてた所を、あの父親にさらわれて無理やリ連れて来られたんだって…
私は、当時はそんな話をすっかり信じていましたが、やがて大きくなるにつれ、それが嘘だということを知りました。
一時はそんな嘘を吐く彼をいやだと思ったこともありましたが……大人になるとだんだんとわかって来たんです。
彼は、きっと、そういう空想をすることで、くじけそうになるのを耐えてたんだろうなって……
そうしないと辛くて生きて来れなかったんじゃないかって思うんです。
もしかしたら、あなたにもおかしな嘘を吐いたかもしれませんが、本当は悪い人じゃないんです。
どうかそれだけはわかってあげて下さい……」

スージーはそう言うと、俯いてそっと目尻を指で拭った。



「……僕も、小さい頃から苦しい生活をして来ましたから、彼の辛さはよくわかりますよ。
それに、僕にも妹がいたんです…」

「では、あなたの妹さんも養子に…?」

「いえ……彼女はあそこへ……」

リオは星の瞬く空の彼方を指差した。



「この世にいてくれたなら…たとえそれがどんなに遠い所でも…たとえ、会えなくてもそれだけで良かったんですけどね…」

リオはこぼれ落ちそうになる涙を隠すため、高い空を見上げた。


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