ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ ジョン12


「あ!待って!」

「良いんだ、放っておけ!」

「そうはいかないですよ!こんな暗いのに…
待って!」

リオは、スージーの後を追って駆け出した。






「待って!待って下さい!」

スージーは意外な程、足が速かったが、しばらく行った所でリオは彼女の姿をみつけ、声をかけてどうにか追いつくことが出来た。



「あ、あなたはさっきの……」

スージーは俯いたままで、慌てて頬の涙を拭った。



「僕、リオって言います。
暗いから送って行きますよ。」

「そんな…私、一人で大丈夫です。
ランプも持って来てますから…」

「いえ…送らせて下さい。」

そう言って微笑むリオに、スージーもほっとしたような笑みを浮かべた。



「じゃあ、お願いします。
でも、私、この先の町から来たのでずいぶん遠いですよ。」

「構いませんよ。」

「……ありがとうございます。」

スージーが火を点けたランプをリオが持ち、二人は暗い夜道を歩き始めた。



「そうなんですか、あなたは彼と同じ町のご出身なんですか。」

「ええ……」

スージーは、アンドリューより二つ年下で彼の幼馴染だった。
彼女の父親が銀細工の職人をしており、出来あがった品物を持って二ヶ月に一度程、この先の町に来るのだと言った。



「それで、その度にいつもジョンに会いに行くんですが、家の中に入れてくれたことはないんです。
いつも家の前でほんの少し話をするだけ。
嫌われてることはわかってましたが、こんな風に追い返されたのは今日が初めて…
よほど、私のことがいやなんですね…」

「いや、そうじゃないと思いますよ。
原因はきっと他のことで…
あ、そういえば、さっきからあなたは彼のことをジョンって呼ばれてますが…」

「ええ…それが何か?」

スージーは怪訝な顔でリオをみつめた。



「僕には、彼は『アンドリュー』だって言いましたから…」

「あぁ……
そういえば、彼は、ジョンって名前が嫌いだってよく言ってました。」

「そうだったんですか…
あの…スージーさん、良かったら彼のことをもう少し詳しく教えていただけませんか?
僕…彼のことがちょっと気になるんです。」

スージーは、すぐには返事をせず、何かを考えるようにしばらく黙っていたが、やがてゆっくりと頷いた。


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