ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ ジョン10






「やっぱり、彼が恐れてるのはウォルフボーラスだったんだね。
でも、おかしいと思わない?
大人になってまでそんな御伽話の魔物を怖がるなんて…
ねぇ、彼はどうしてそんなにウォルフボーラスにこだわるんだと思う?」

「そりゃあ……」

ラルフは思いっきり背筋を伸ばし、大きな欠伸をひとつして、再び言葉を続けた。



「あいつは、嘘を吐いてるからだろうな。」

「嘘?」

「あぁ、そうだ。
あいつ、自分のことを貴族の息子だなんて言ってたがそんなのは大嘘だ。
あんな貴族がいるかよ。
人間ってのはな、環境が変わっても生まれ付いて身についてるもんはなかなか変えられないもんだ。
たとえば、口調や物腰だな。
あいつ…おまえと最初にしゃべった時は丁寧な口の利き方をしていたが、すぐに変わっただろ?
あれがあいつの地なんだ。
あいつは、きっと子供の頃からそんな嘘ばっかり吐いてたから、ウォルフボーラスが怖いんだろうな。」

「でも、どうしてそんな嘘を……」



リオ達は、アンドリューが目を覚ます前に家を出て丘の方へ来ていた。
アンドリューは夕方までは畑仕事があるということだったので、リオが明るいうちに先にウォルフボーラスを探しに行くと言うと、それならば荷物と小鳥を置いていけと言われた。
アンドリューが眠っている間に小屋を抜け出すことは可能だったが、リオは正直にも彼に言われた通り、荷物とレヴィを小屋に残し、リオの姿が変わる前に小屋を出た。




「なんで、レヴィを置いて来たんだ。」

「だって……このまま出て行くのはちょっと…
気になるんだよ。
彼のことが…」

「……また、おまえのおせっかいの虫が目覚めたってことか……」

ラルフは、意味ありげな視線をリオに送った。



「ラルフだって、本当は気になるんだろ!」

「俺は、誰がなにをしようと気になんてならないさ。
だけど、おまえがそうしたいならつきあってやるよ。
毎日こんな早起きさせられるのは、迷惑だけどな。
……しばらく眠るぞ。」

「僕もそうするよ。」

これからアンドリューにどんな風に話を持ち掛けるかを考えながら横になったリオは、いつの間にか深い眠りに落ちていた。


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