ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ ジョン9


「なぁ、あんたはどこで奴を見たんだ?」

「え……?
えっと、それは…あの、丘の近くの……」

「そうか!あいつは、あのあたりで機会を狙ってやがるんだな!」

アンドリューの言葉には、やはり少しも冗談めかした所がなく、そのことがリオにはとても奇妙なことのように感じられた。



「あの…アンドリューさん…
ウォルフボーラスっていうのは、御伽話の魔物ですよね?
そんなものが本当にいるんでしょうか?」

リオは恐る恐るアンドリューに質問を投げかける。



「何を今更!
俺は、この目ではっきりと見たんだ!
それに、あんただって見たって言ったじゃないか!」

「僕は、近くで見たわけじゃありませんし…」

「それじゃあ、俺が嘘を吐いてるっていうのか!
俺があいつを見た同じ日に、あんたもウォルフボーラスらしきものを見た。
こんな偶然があると思うか!?
そいつは、ウォルフボーラスに間違いない!」

「でも……」

リオの態度に、アンドリューは明らかに気分を害したようは表情を浮かべた。



「だったら、あいつが本当にいるってことを確かめに行こうじゃないか!
世の中には、御伽話や伝説としか思えないようなことが実際にあったりするんだ。
あいつは……ウォルフボーラスは……確かにいる…!
俺は今までにもそれらしき奴を何度も見ている…
今回みたいにはっきり見たのは初めてだが、奴は昔からずっと俺を……」

そこまで言って、アンドリューは唇を噛み締め俯いた。



「と…とにかく、奴をあのままにしておいたら危険だ。
絶対に倒さないとな…!
今夜はここに泊まって行けよな。」

「え…?あ、ありがとうございます。」

アンドリューは、野菜のくずが入った薄い味のスープをリオにご馳走した。
お礼にとリオがパンを差し出すと、アンドリューはとても嬉しそうな顔をしてそれを頬張った。
彼が普段からろくなものを食べていないことは、その様子からも明らかだった。


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