ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ ジョン8


男に連れていかれたのは、町はずれのたいそう粗末な掘ったて小屋だった。
リオ自身も貧しい生活を強いられてきたが、それとは比べ物にならないほど、おんぼろの小屋だった。



「汚いから驚いただろ?
俺は本当はここからずっと南にある町の貴族の息子なんだが、自分一人の力で生活してみたくて、屋敷を飛び出して来たんだ。
どうせなら思いっきり貧乏な暮らしっていうのを体験してみたくってな。」

「そうなんですか…」

「でも、家なんてものは雨露さえしのげりゃ良いんだ。
実家にはまったく使ってない部屋がたくさんあったが、無駄なばっかりだった。
広いっていうのも慣れてしまうと、ありがたくもなんともないもんだからな。」

「僕は、貧しい暮らしをして来ましたから、そんな広いお屋敷は羨ましいですよ。」

男は、その言葉に、リオの顔をまじまじとみつめた。



「そ、そういうもんなのか。
そうか…あんたは、貧しい暮らしをしてたのか…
……ま、そんなことはどうでも良いや。
俺はアンドリュー、よろしくな!」

「僕は、リオです。
それと、こっちは…」

「いいよ、俺、動物には興味はないから。」

ラルフとレヴィを紹介しようとしたリオの言葉を、アンドリューは冷たく遮った。



「そんなことより、計画を立てようぜ!」

「……計画…ですか?」

アンドリューの言おうとすることがわからず、リオは不思議そうな視線を向けた。



「そうだ!
ウォルフボーラスを倒すための計画だ。
あんな危険な奴がこのあたりをうろついてることがわかったんだ。
放っておくわけにはいかないじゃないか。
実は、俺はさっき一人で奴を仕留めに行く所だったんだ。
だが、知っての通り、あいつはとても強い。
俺は、それほど力には自信がないから心配ではあったんだが、町の皆を危険にさらすわけにはいかないからな。
それで一人で出向いてたんだ。
でも、あんただって奴を見たんならこのまま放っておくわけにはいかないだろう?な?
二人だったら、十分勝ち目はある!
協力してあいつをやっつけようぜ!」

アンドリューの熱のこもった言葉は真剣そのもので、彼が冗談でそんなことを言っているのではないことは明白だった。
そんなアンドリューになんと答えれば良いものかとリオは戸惑い、救いを求めるような視線をラルフに向けたが、ラルフはそんなことにはお構いなしに部屋の片隅で丸くなっていた。


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