ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ ジョン7


「ええ……たとえば……おかしな魔物を見たとか…」

「魔物……ウォルフボーラス……」

「見、見たのか!君も!!」

「え?……えっと……その……」

朝の青年と今の青年の違いに気を取られていたリオは、魔物と聞いて思わずウォルフボーラスの名を口に出していた。
その事で青年はたいそう興奮し、リオに詰め寄り両肩を激しく揺さぶった。
彼の持った鎌がリオの顔を傍をかすめ、リオは反射的に顔を背ける。



「はっきりしたまえ!
見たのか!ウォルフボーラスを!!」

青年は、リオのそんな様子にも気付いていないのか、激しい剣幕でリオを問いただす。



「そ…それが…はっきりとはわからないんです。
僕が見たのは少し離れた場所だったから…
な、なんだか慌ててたみたいで、走ってましたし…」

「そうか…やっぱり、あいつはまだこのあたりにいるんだな!」

男は、リオの返した答えが嘘だということも知らず、興奮した様子でリオから両手を離すと、険しい顔であたりをきょろきょろと見渡した。



「やっぱりって…
あなたもウォルフボーラスを見たんですか?」

「あぁ、見たよ。
今朝早くのことだった。
この道で、俺ははっきりとあいつの姿を見た!
あいつは、きっと俺を……」

男は今朝のことを思い出したらしく、その顔からは血の気が失せ、唇は白くなっていた。



「あなたを…?」

「い、いや、なんでもない!
ところで、あんた、これからうちに来ないか!?
なぁ、そうしよう!」

「え…」

男は最初に話した時よりずっとくだけた口調でそう言うと、リオが返事をしないうちから、その腕をひっぱり歩き始めた。


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