ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ ジョン6






「リオ、そろそろ出発するか?
あの男ももう畑仕事を終えてるだろうし、これだけ暗くなりゃ大丈夫だろう。」

一眠りして、食事も済ませたリオ達は、あたりが暗くなったのをきっかけに先程の道を再び歩いていた。



「今朝は本当に酷い目にあったな…」

「そうだね…まだ、足が痛むよ。」

「しかし、なんだって…
……あ!!リオ!あいつだ!
今朝のあいつだ!」

「えっ!」

少し上ずったラルフの声にリオも緊張し、慌てて肩のレヴィを掴んで、しっかりと胸に抱き締めた。
朝とは違い、男は冷静な様子でりオの方へ歩いて来る。
男の手には、鋭い刃のついた鎌が握られていた。



「ラルフ、大丈夫だよね?
今は僕、普通に見えてるよね?」

「多分な…でも、俺にはいつも普通のリオにしか見えないから確かなことは言えないぞ。」

「そんな…ラルフ〜…」

ラルフと小声でそんなことを言い交わしながら、リオは速まる鼓動を男に悟られないよう、出来る限りの平静を装った。
男との距離は徐々に縮まり、張り詰めた空気の中すれ違い、ようやくリオが一息吐いた時に、背中から声をかけられ、りオの心臓は凍りつく。



「あの……」

「は……はい、なんでしょうか?」

リオは無理な笑顔を浮かべ、男の方に振り向いた。



「あの……おかしなことをお尋ねするのですが…
この道で、なにか変わったことはありませんでしたか?」

「……変わったこと?」

男は、近くで見ても、ラルフが今朝感じた通り、リオと同じくらいかやや年上くらいの年格好をしていた。
神経質そうな顔つきではあるが、その声は穏やかで物腰も柔らかい。
朝に見たあの異常な驚き振りからは想像もつかない、極めておとなしそうな青年だった。


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