ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ









「どうしたんだ?
えらく騒がしいな。」

「ギディオン!良かった、ちょうどあんたを探してた所なんだ。
人間が森に迷いこんで来たんだ!
そいつが暴れて……」

「人間が……そうか…」

ギディオンの顔に暗い影が差した。







「放して!放してって言ってるでしょ!」

広場には、縄でぐるぐる巻きにされてもなお身をよじり抵抗しようとする若い娘と、それを取り囲む数人の男達、そして騒ぎを聞きつけてやって来た者達が集まっていた。



「あ!ギディオン!」

一際背が高く、どこか威厳に満ちた雰囲気を醸し出す青年がしずしずと広場の中央に歩み出ると、それだけでがらりとその場の空気が変わった。
捕えられた少女も、それに気付き顔を上げてギディオンの方を見つめる。



「……この者か……」

「あぁ…どっから来たのかわからないが、いつの間にか迷いこんでたんだ。
こいつ、女のくせにえらく強くてな。
捕まえるの大変だったんだぞ。
じゃあ、ギディオン……後のことは頼んだぞ!」

顔にひっかき傷を作った男はそう言うと少女の脇を掴み、その場に立ち上がらせた。



「あぁ、わかった。」

ギディオンは言葉少なにそう答えると、託された少女の後ろに立って縄を持つ。



「では、行こうか…」

「い、行くってどこへ?」

「……それは知らない方が良い。」

「い、いやよ!
知らない所に連れて行かれるなんて!
それに、何なの?この人達…
いきなり、私を捕まえて…私が一体何をしたっていうの?」

少女は無造作に一つに束ねた金色の髪を揺らしてギディオンの方を振り返る。
そして、意志の強さとプライドの高さを感じさせる青い瞳でギディオンをじっと見上げた。
ギディオンはこの後すぐに娘の身の上に訪れる悲しい運命を憂い、憐れみのこもった瞳で少女をみつめ返した。



「おまえはこの森に入った…
それこそが大罪なのだ…」

「どういうこと!?
森に入っただけでどうしてそれが罪になるの!?」

「それは……」

「それはな、ここが俺達の聖域だからだ!」

言葉を選ぶギディオンの横から、先程の青年が口をはさんだ。



「……聖域……!?」

少女は言われた意味がわからず、ただ、呆然と青年の顔をみつめる。



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