ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ ジョン5


「そんなに怖い話なのか?一体どんな話なんだよ?」

「ウォルフボーラスはね、一言でいうとゴブリンみたいな奴なんだ。
見た目はそんなに強そうじゃないんだけど、本当はものすごく強いんだ。
ウォルフボーラスは、夜中になると嘘吐きの子供を捕まえに行くんだ。
どんなにしっかり鍵をかけてても、ウォルフボーラスは壁や天井をすりぬけることが出来るから、絶対に逃げられないんだ。
ウォルフボーラスは捕まえて来た嘘吐きの舌に針金を突き通して、嘘吐きの木に吊るすんだ。
そして、その人間がからからに干からびると、それを裂いて食べるんだ。
月明かりの下で、酒を飲んで陽気な歌を歌いながらね。」

リオの眉間の皺は先程よりも、さらに深いものになっていた。



「御伽話にしてはずいぶんとグロテスクな話だな。
それにしたって子供ならともかく、いい年をした大人がそんなに怯えるものか?
さっきの男はおまえと同じくらいの年じゃないか?」

「そうだよね。
僕も小さい時は嘘を吐いたらウォルフボーラスがさらいに来ると思ってとても怖かった時期があったよ。
でもね、そんなものが現実にはいないってことは大人になればわかること。
あれは、子供達に嘘はいけないってことを伝えるための御伽話だからね。
……じゃあ、彼が叫んでたのはそれとは違う…似た人の名前か何かだったのかな?」

「おそらくそうだろうな。
大人がそんなものをあれほどまでに怖がる道理はないからな。
……リオ、俺はしばらく眠るぞ。
早くに起きたから、眠くて仕方がない。」

そう言うと、ラルフはその場で背を丸めて目をつぶる。



「僕もそうしよう。
どうせ暗くなるまでは動けないんだから…」

リオも、ラルフの傍に身を横たえた。



「レヴィも…」

ふと目を移したバッグの上で、レヴィはすでにうつらうつらと船を漕いでいた。
その呑気な姿にリオは思わず顔を綻ばせる。



(おやすみ、レヴィ…)




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