ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ ジョン4






「あ〜あ…早起きして歩いた分が無駄になっちまったな。
リオ、大丈夫だったか?
レヴィもなんともないか?」

「うん。レヴィは、ほら、この通り、無事だよ。
僕は、足に石がぶつかったけど…」

リオは、その場に座りこむと、ズボンの裾をまくりあげた。



「あぁ、たいしたことはなさそうだ。
痛むのは痛むんだけどね。」

「傷はついてなくても、明日になったら青くなるかもしれないから、よく揉んでおいた方が良いぞ。
……しかし、あんなに怖がる奴は初めてだな。
おまえのことが、よほど怖いものに見えてたんだな。」

「……ねぇ、ラルフ…
さっきの人、なんて言ってた?何度も同じことを叫んでたよね?」

「え……?あぁ、そういえば……」

ラルフの視線が宙をさ迷う。



「そうだ…ウォル…なんとか…ウォルボラ…だったっけ?」

「それ、なんか聞いたことがあるんだよね…
ウォルボラ…ウォルボラ…
なんだっけ?
う〜ん、ここまで出て来てるんだけどな…」

そう言いながら、リオは喉のあたりを指差した。



「なんだか知らないけど、あの調子じゃ明るいうちはあの道を通れそうにないな。
夜になってから……」

「ウォルフボーラスだ!!」

ラルフの言葉を遮り、リオが手を打ち大きな声を上げた。



「ウォルフボーラス?
なんだ、そりゃ?」

「ラルフ、知らない?
御伽話に出て来る小人…魔物かな?
ちょっと違うかもしれないけど、とにかくそういうもんだよ。」

リオは子供時代の記憶を思い出すかのように遠い目をして呟いた。



「人間の御伽話なんて俺が知るわけないだろ?
でも、なんでそんな奴が出て来るんだ?
そのウォルフボーラスていうのは、怖い奴なのか?」

「うん……僕らが小さい頃はよく読まれてたんだけど、残酷な描写があるからって最近じゃあんまり読まれなくなったとか内容を少し変更してるって話を聞いたことがあるよ。
確かに怖い話でね。
あの絵本には今でもあんまり良い思い出はないよ。
……挿し絵がとっても怖くってね。」

リオはいつもよりどこか低い声でそう言いながら、眉をひそめる。


- 111 -

しおりを挟む
コメントする(0)

[*前] | [次#]

お礼企画トップ 章トップ

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -