ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ ジョン3






「もう少しゆっくりしても良かったんじゃないか?」

まだ明けきらない空をうらめしげに見上げながら、ラルフは大きな口を開け、あくびをする。



「だけど、この街道の周りには畑もあるじゃないか。
畑仕事をする人達は、けっこう早起きだからね。
出来るだけ町の近くまで行って、その後は暗くなるまで人気のない所で潜んでいたいんだ。」

「……本当に厄介な呪いをかけられちまったもんだな。」

ラルフは大きく伸びをすると、それでもまだどこか眠そうな顔で歩き始めた。



「ごめんよ、ラルフ。」

「おまえが謝るようなことじゃないだろ…
おまえって奴は本当に…」

ラルフの言葉を遮ったのは、向かい側から歩いて来た青年の叫び声だった。
青年は、腰を抜かし、担いでいた鍬も放り出してその場に尻餅を着き、怯えた目でリオをみつめていた。



「あいつ…相当怖がってるな。」

「悪いけど、仕方ないよ。
走って通り抜けよう。」

しかし、リオの思い通りにはならなかった。
青年の脇を走りすぎようと近付いたリオに向かって、青年は泣き叫びながら、あたりのものをリオに投げつけ始めた。
その怯えようは、リオが今まで出会った他の誰よりも激しいものだった。



「こりゃあ酷いな。
とても、先には進めそうにないぞ。
残念だが、撤退だな。」

ラルフは飛んできた大きな石から、うまい具合に身を交わす。



「そうだね。
これはとても無理だ。
さっきの場所に戻るしかないね。」

リオは、肩に乗せていたレヴィを守るように胸に抱き抱えて背をかがめ、今来た道を走り出した。
その間にも、青年の投げたものが脇をかすめ、何を言ってるのかよくわからない泣き声混じりの叫びがリオの耳に深く残った。


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