ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ ジョン1






「……それにしてもずいぶん遠くまで来たもんだね。」

小高い丘の上から、リオは眼下に広がる町を見下ろした。
今、リオの瞳に映っているのは彼が旅して来た長い道程の中のほんの一部分で、すべてを見通す事など出来ないことはわかっているのだが、傾きかけた太陽と交じり合うその景色はそんな細かいこと等どうでも良く思える程爽快なものだった。



「当たり前だ。
あれからもう一年近く経ってるんだぞ。
サーシャは確かに『ずーっと東』とは言ったが…いくらなんでもこれほどとはな…」

リオの隣に座ったラルフが、溜め息混じりに呟く。



「ここまで来てそんなこと愚痴るなんて…君は本当に面白いね。
エルマーの住む森まではここからあと少しらしいじゃないか。」

「……あと少しねぇ……
『ずーっと』だとか『あと少し』とか…
魔法使いって奴らはどうしてそう曖昧な言い方しか出来ないんだろうな…」



サーシャに言われた通り、リオ達はひたすらに東を目指して旅を続けた。
旅の途中で出会った魔法使いは相変わらず少なくたったの二人きりだった。
最初の一人はエルマーのことを知らなかったため、本当にこの方向で大丈夫なのだろうかとリオ達の不安も消えなかったのだが、つい最近出会った二人目の魔法使いはエルマーのことを知っており、エルマーの住む森へはあと少しだと言われたことでリオ達はとても勇気付けられた。




「リオ、あと少し進んでエルマーに会えたとして…
そこで、シューラルフィールのことを教えてもらったとして…
彼女の居場所がずーーーーっと西だって言われたらどうするんだ?
一年かけて旅して来た道を引き返すようなことになったら……」

「どうするって……そうなったら、西へ行くしかないんじゃない?」

「本気か!?
そんなことになっても、なんともないのか?」

「……うん、本気だけど…でも、どうして…?」

「そうか……
……やっぱり、おまえはどうしても元に戻りたいんだな…
いや…それがきっと当たり前なんだろうけどな。」

まるで独り言のように、ラルフはぽつりと呟いた。


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