ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ サーシャ6


「あぁ、そうだ。
フレッドにはおまえさんみたいなタイプの子が傍にいてくれるのが一番良いんだよ。」

「そうだよね?
あの人、社交的じゃないし、なんでも後ろ向きに考える癖があってさ。
あんな人には、あたしみたいなのが却って似合うんだよね?」

「その通りだ。
両極端な二人だから、子供はちょうど良い子が出来るんじゃないか?」

「こ、こ、子供って…!!
にゃんこちゃん、気が早いよ!」

サーシャは、両手で顔を覆い何度も首を振る。
最初は二人が何の話をしているのか理解出来なかったリオにも、ようやくそれがわかり、照れまくるサーシャに思わず笑みを浮かべた。



「あーーー!
こんなことしてられない!」

サーシャは不意に立ちあがり、ラルフを椅子の上に乗せると、そこらのものを袋にまとめ始めた。



「……サーシャ、どうかしたのか?」

「どうかじゃないよ。
あたし、今からフレッドの所に行くんだ!」

「今からって、おい…」

ラルフの言葉も耳に入らないように、サーシャは部屋の中を動き続ける。



「ありがとう、にゃんこちゃん!
じゃあ、あたし、行って来る!」

しばらくして大きめの布袋一つを手にしたサーシャは、玄関に向かって唐突に歩き出した。



「お…おいっ!サーシャ!」

慌てて声をかけたラルフに向かって、サーシャが足を停め振り向いた。



「あ、そうだ!
ここからずーーーっと東の森ん中に、エルマーって魔法使いがいるんだ。
シューラルフィールと仲が良いから、話を聞いてみると良いよ。
じゃあね!」

「あ……」

もっと詳しいことを聞こうと口を開けたリオの目の前で、サーシャは大きな鳥に姿を変えて飛び去った。
リオは力なく伸ばした腕を下げ、開け放たれた扉を閉じる。



「……なんだか慌しい人だったね。」

「ま、良いじゃないか。
シューラルフィールについての手掛かりは教えてくれたんだし…
今夜は、ここに泊めてもらって、明日の朝、早速出かけよう。」

ラルフは、何事もなかったように毛繕いを始めた。



「……そうだね。
……ねぇ、ラルフ……あの二人…本当にうまくいくかな?」

「当たり前だ。
俺のアドバイスをちゃんと聞けば、絶対にうまくいくって。
おまえにも好きな娘が出来たら、俺がうまくまとめてやるからな!」

「ぼ…僕は……」

「そうだよなぁ…
おまえにはまだそんな相手は当分出来ないだろうな。」

ラルフは、馬鹿にしたような口調でそう言うと、意味ありげににやっと笑う。
言いたい放題のラルフにリオは怒ることもせず、そっと小さな溜め息を吐いた。


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