ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ
サーシャ1






「へぇ〜!
フレッドから紹介されてここに人が来るなんて、初めての事だよ。」

本当の年はわからないが、サーシャはリオと同世代に見える若い女だった。
声や仕草が大きく、それだけでも快活な印象を感じさせる女性だ。



「あの…実は僕…」

「あんた、魔法使いじゃないよね?
でも、なんだか変な感じがする。
……この猫ちゃんやこの小鳥ちゃんも…」

サーシャは、もごもごと呟かれたリオの言葉を無視し、リオやラルフ達をみつめては自分の感想を述べた。



「さすがに鋭いな。
その通り、俺達は、皆、わけありなんだ。」

「えっ…!?
な〜るほど、あんたは言葉がしゃべれるんだね!
こんなかわいい顔して、なにが『俺』だ!」

そう言ったかと思うと、サーシャはラルフの身体を抱き上げ乱暴にあご先でその頭をさする。
ラルフはそれに気持ち良さそうに目を細め、サーシャにされるがままになっていた。



「あぁ、やっぱり猫は良いね。
やわらかくって温かくって…
可愛い、可愛い!」

サーシャはよほど猫が好きなのか、なかなかラルフを離そうとはしなかった。
その様子を、リオはただ呆然と立ち尽し、見守っていた。
シューラルフィールのことを早く聞きたいのは山々だったのだが、今のサーシャには何を言っても聞いてもらえないということがリオには十分に予想出来たから。



「あたし、この猫がすごく気に入った!
ねぇ、この猫、あたしにおくれよ!」

「えっ!?」

突然のサーシャの申し出に、リオはおかしな声で問い返す。



「おいおい、俺は普通の猫じゃないんだぞ。
住む場所も俺が自分で決めるんだ。
俺は、当分、リオと一緒に旅をするって決めてるから、そいつは無理な話だな。
さ、いいかげん降ろしてくれ!」

「ええーーーー…
そうなの?
残念だな、あんたみたいに可愛い猫、めったにいないのに…」

言葉とは裏腹に、サーシャはラルフに言われた通り、彼の身体を床に降ろした。



「ね、でも、何日かはここに泊まっていきなよ。
ね?ね?
何か食べるかい?
あ、そういえば、そろそろ昼だね。
……あ、あんた、何か作ってくれない?
あたし、猫ちゃんとまだ話があるんだ。」

「え…ぼ、僕が、作るんですか?」

「台所にあるもので、何か適当に作ってよ。
あ、猫ちゃんの分もね!」

そう言うと、サーシャは再びラルフを抱き上げ、長椅子に腰を降ろした。
リオはそんなサーシャに諦めの視線を投げかけながら、バッグとレヴィをテーブルに置くと、渋々台所へと向かった。


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