ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ
フレッド6






「ずいぶん世話になったな。
ありがとうよ。」

「俺は何もたいしたことはしちゃいないさ。
それより……却って悪いことをしちまったようだな。」

そう言いながら、フレッドは長椅子に寝そべるリオに視線を向けた。



「いや、良いんだ。
これも良い思い出になるさ。」

ラルフは、その鼻に短い皺を寄せ、笑いを表現した。







「ラルフ…今日はもう大丈夫なの?」

澄みきった空の下、レヴィを背中に乗せてゆっくりと散策するラルフの背後から、いつもより少し元気のない声が届いた。



「なんだ、やっと起きたのか。
……どうだ?頭痛はおさまったか?」

「うん、フレッドさんの薬が効いたみたい。」

「そうか、それは良かったな。
昨夜はずいぶん飲んだらしいじゃないか。」

「それが……よく覚えてないんだ。
途中までは覚えてる…と、思うんだけど、なんだかはっきりしなくて…」

「フレッドがびっくりしてたぜ。
まるで水みたいにぐいぐい飲むから、酒に強いのかと思ってたらしい。
でも、その後はもう…」

「もう何なの?
僕は昨夜一体どんなことをしたんだい!?」

身をかがめ、ラルフの前に詰め寄るリオに、ラルフは例の笑いを見せる。



「ま、酒の上でのことだからな。
フレッドも別に気にしちゃいないから大丈夫さ!」

「もう〜〜!
ラルフ、はっきり教えてよ!」

「俺はその時はまだ寝てたんだから詳しいことは何も知らないよ。」

ラルフは、大きなあくびをしてその場に丸くなる。



「ラルフ〜〜……」

リオの情けない声にかぶさるように、低い笑い声が響いた。



「あ、フレッドさん!」

「心配すんなって。
あんたは、酒をしこたま飲んでわんわん泣いてそのまま寝ちまった。
ただ、それだけのことだ。
頭痛は酷かったかもしれないが……心の中はすっきりしてるんじゃないか?
あの空みたいにな……」

フレッドのみつめる視線の先を、リオは同じように仰ぎ見る。
そこには、つき抜けるような真っ青な空がどこまでも広がっていた。


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