ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ
フレッド3


「あれっ?
……どうしたんだ?その猫、どこか悪いのか?」

「いえ……そういうわけじゃないんですが…」

男は、お茶の用意をテーブルに置き、腰をかがめてラルフの様子をうかがった。



「ずいぶん、苦しそうじゃないか。」

「ええ…そうなんですけど…」

「どれ、ちょっと診てみよう。」

「……無駄だ。」

「えっ……?」

男がラルフに手を差し伸ばしたと同時に、ラルフが苦しそうな声を発した。



「……なるほど。
この痛みは病気じゃなくて呪いによるもんなんだな。」

「どうしてそんなことがわかるんですか?
そ、それに、ラルフがしゃべったことに、あなたはなぜ驚かれないんです?」

「それは……」

「リオ、そいつは魔法使いだ。
……そうなんだろ?」

答えようとした男より早く、ラルフが横から口を挟んだ。
男はその言葉ににっこりと微笑むと、不意に立ちあがり奥の部屋へ歩いて行った。



「ラルフ、今の話は本当なの?
どうして、ラルフにはそんなことがわかったんだい?」

「どうしてって…
おまえの姿を見ても、その姿に惑わされないっていうのは……う〜……」

ラルフは、激しい痛みに堪らずうなり声を上げる。



「おいっ!ちょっと口を開けな。」

ちょうどそこへ男が戻り、ラルフを抱き起こしその首を持ち上げた。



「な、何をするんです?
ラルフの痛みは、痛み止めを飲んだくらいじゃ…」

「そのくらいわかってるさ。
この痛みを根本的に直すには、この術をかけた奴に解いてもらわなきゃ無理だ。
だが、眠ってしまえばその間だけでも苦しまずにすむ。
これは、ただの眠り薬だ。
心配すんな。」

「……すまないな。」

心配するリオを尻目に、ラルフは男に言われるままに口を開き、男は口の中に黒い丸薬を投げ入れた。



「なんて苦いんだ。
これで効かなかったら、ひっかいてやるからな!」

男は、ラルフの憎まれ口に声をあげて笑った。
リオは、まだどんな人物かもまるでわからない見ず知らずの男に飲まされた薬のことをただ心配していた。
万一、飲まされた薬が悪いものだったら…そう考えると、リオはいてもたってもいられない心境だった。
だが、その心配は幸いなことに杞憂に終わった。
ほんの数分経っただけで、ラルフは静かな寝息を立てて眠りに墜ちたのだ。


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