ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ
フレッド1






「ごめんね、ラルフ、やっぱりこんな無茶するんじゃなかったね。」

息を切らし、噴き出す汗を流しながら、リオはラルフに話しかけた。



「何言ってんだ。
人間とは違って、俺達にはこんな山道、特になんてことない。
疲れてるのはおまえだけだぜ。」

「そっか…それなら…良いんだけど…
この道には……本当にまいったよ。」

「いい若いもんが何情けないこと言ってんだ。
もう下りに入ったんだ。
あと少しで平らな道に出るだろう。
頑張れ、頑張れ!」

リオとは違い、ラルフは涼しい顔をしてリオの前を歩いて行く。

あれから、山を越えるのに三日もの時間がかかった。
リオは、めったにない山歩きに早くも音を上げ、気まぐれにつまらないことを言ってしまったことを後悔したが、時すでに遅し。
ひき返すにもひき返せない状況に、リオの表情はすっかり曇っていた。



「ラルフ…少し休まない?」

「もう少しだって言ってるだろ?
登りじゃないんだ。
しっかり歩け!」

「下りは、膝が痛いんだよ…」

「おまえなぁ……年寄りみたいなこと言ってないで、さぁ早く行くぞ!
雨も降り出してきそうだしな。」

「まさか……」

ラルフはリオの泣き言に少しも耳を貸さず、さっさと山道を歩いて行く。
そうなると、リオも一人で休む気にはなれず、仕方なく足を動かす…
その甲斐あって、夕刻前にリオ達はようやく平らな道へ出ることが出来た。




「あぁ、きつい道程だった…
ラルフ、どこかで少し休もうよ。」

「そうだな…俺も小腹がすいた。
あ、リオ、あそこに小屋があるぞ。
こんな場所にも住んでる奴がいるんだな…」

「本当だね。
ここから町まではまだずいぶんあるだろうし、不便だろうにね。」

そんなやりとりをしていると、ちょうど小屋の扉が開き、中から一人の男が出て来るのが見えた。
男の方もリオに気付いた様子だった。



「まずいな……」

リオは思わず俯いて顔を伏せた。



「……リオ…おかしいと思わないか?」

「……おかしいって……何が?」

「あの男、おまえのことを確かに見たはずなのに、特に驚いた様子がない。
おい、リオ…もう一度顔を上げてみろよ。」

「そういえば……で…でも、そんなことをしたら…」

「いいから!」

リオは渋々顔を上げた。
だが、男はリオ達には背を向け、小屋の前に干された大量の植物とおぼしきものを回収していた。


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