ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ
魔法使いの沼地34






「う〜ん……」

リオは自らが書いた紙切れを見ながら、低い唸り声を発した。



「名前 シューラルフィール
年齢不詳
性別 女性
容姿はけっこう良いらしい
社交的
ダーニアスという好きな男性がいる
職業は、呪文、法具、薬の作成と販売
なんだかわからない不思議な香りがする」



「……ねぇ、ラルフ……
本当にこれだけなの?」

リオはすがるような視線をラルフに向ける。



「そうさ。
俺がシューラルフィールを見たのは、ほんの数回なんだから。
あとは、シューラルフィールを訪ねて来た魔法使い…だと思うんだが、そいつらの話から知ったことなんだ。
それもわざわざ尋ねたわけじゃなく、たまたま耳にしたことなんだから、これだけでもまだ良い方だと思うぜ。」

「でも、ラルフ……
たった、これだけの手掛かりでどうやってシューラルフィールを探せば良いの?」

リオは紙切れをみつめたまま、か細い声で尋ねた。



「そんなこと知るかよ。
でも、この世界にはたくさんの…か、どうかはわからないが、魔法使いがいるんだから、そういう奴らに話を聞けば、いつかシューラルフィールの所に辿り着けるんじゃないか?」

「なるほど…!
それもそうだね!
あ、そうだ!それと、不思議な香りって…どんなの?
香水なのかな?何かのにおいに似てるとかないの?」

「それがなぁ…今までに嗅いだことのないにおいなんだ。
香水っていうよりは、薬草か何かじゃないかなぁ…とは思うんだ。
かといって青臭いってわけじゃないんだけど、普通の人間のよくつけてる香水とは全く違う。
なんだかとにかく不思議なにおいで、例えるものが思いあたらないんだ。」

ラルフの説明では、リオにはその香りが何なのかまるで見当が付かなかった。
そうでなくとも、香水や薬草にもほとんど無知なリオにはわかるはずもない。



「でも、そのにおいを嗅ぐとわかるよね?
魔法使いとそのにおいに注意しながら探していけば、きっとシューラルフィールはみつかるよね!」

「そういうことだな!」









だが、現実にはそう簡単にはいかなかった。
旅に出てからの三年というもの、リオはまだただの一人の魔法使いにも、そして、そのにおいにもめぐりあえないでいた。


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